こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
モノの価値をどう捉えるか、は人それぞれ違います。
誰から何と言われようと「自分はこれが好き」という“絶対価値”を中には持ち合わせている方もいるでしょうが、多くの方は、
・単純に、値段が高いものに対して価値を感じる人もいる。
・「限定」「ダブルネーム」などの、レア感や希少性に対して価値を感じる人もいる。
・「好きな有名人が使っているから」という、憧れの対象を真似る事に対して価値を感じる人もいる。
これらの、いわば販売者側のマーケティング戦略によって作られた価値が、身の回りに多いのが現状です。
しかし、同じ商品を並べても、自分にとってそれらの価値が何倍も何十倍も変わることがあります。
ここでゴローズ(goro’s)のお話をします。
goro’s。今でも多くの方が開店前に行列を作る、伝説のシルバージュエリーショップ。
私も20代の頃、暑い夏も、寒い冬も、機会があるごとに店の前に並んでいた一人。
そのオーナーであった、今は亡き高橋吾郎氏。
私の先輩方の中には、ゴローさんが店舗にいて実際に彫金したりバングルのサイズ調整してくれた時代の話なんかを、楽しそうにしてくれます。
しかし、私が店先に並び始めたその頃はすでにゴローさんの姿は店内にはありませんでした。
このブログの読者の中にも、少しばかりはその高橋吾郎さんが彫金している姿を目にした方もおられるかも知れませんが・・・ほとんどは私と同じく「無い」方でしょう。
しかし、中にはいらっしゃるんです。実際にゴローさんにネックレスを組んでもらった人。名入りのリングを作ってもらった人。フェザートップをプレゼントしてもらった人。
その人にとって、それらのアイテムはただの「シルバージュエリーブランドのゴローズ」ではなく、もっと特別な存在。
たとえ同じ組み方のネックレスがもう一つあったとしても、その人にとってはゴローさんに組んでもらったネックレスこそが、特別な存在なのです。
それは「商品を買った」というよりも「プライスレスな体験を買った」という感じでしょうか。
…いや、なんか、その表現もちょっと違う気がする…
そのネックレスが、ゴローさんとあなたを繋げているアイテム、というのでしょうか?
ちょっと語彙力なさすぎて適切な説明が出来ないですが。
まぁ、つまり。
物質としては同じモノなのに、そういう「特別な体験」が加わることで、その人にとって価値が何倍にも変わるのです。
ここで、別の妄想をしてみます。
ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホル。詳細を知らない人はいても、彼の作品を目にしたことが無い人はいないでしょう。
有名人の肖像画などを、シルクスクリーンで色彩を重ねた技法のアートが有名です。このマリリン・モンローとか。
そもそも、このレプリカ自体、非常に高価な金額で売買が今でもされていますが…
もし、アンディ・ウォーホル氏自らが、あなたのために、目の前でシルクスクリーンでプリントを重ねてくれて、サインを入れて渡していただいたとしたら…
全く同じシルクスクリーンの作品でも、あなたが大切にするのは当然アンディ氏が「あなたのために作ってくれた作品」のはずです。
オークション市場での売買価格は同じなのに、あなたにとって、感じる価値が変わります。市場価格の何倍も提示されても、あなたは手放さないかも知れません。
それは、あなたがアンディと繋がっていたことを証明するモノだからです。
で、何が言いたいのか、というと。
今、私たちの周りにあるモノの価値=人の決めた価値を手に入れることで得られる幸福って、実に微々たるものにすぎないこと。
だから、ものを買っても買っても、物欲が満たされないんだろうなぁ、と、40年生きて、そろそろ気が付いてきました。
むしろ。
大量生産でモノが溢れ、作り手の顔が見えない今の時代だからこそ、
「誰から」「どんな体験を通じて」「何を手に入れるか」ということが重要なのだと思います。
このキーワードを突き詰めていけば、モノの新しい価値が見つけられるのではないだろうか?と。
私自身【ONE PIECE OF ROCK】の作品を手にしてから、物欲が一気に萎んだことを実感しています。
人から見れば、ただのデニムジャケットの写真にすぎませんが、私にとってこれは宝物。
それは寒い冬の日。目の前で一時間ほどかけて、ONE PIECE OF ROCKの小中さんが、私のためだけにデニムを裁断し、ゼロから縫製して完成して頂いた作品。
本当に、嬉しかった。
購入価格は4万円前後でしたが、その10倍以上の価値を私は感じています。
40万円出すから売ってって言われても、絶対売らない。
この体験はお金に買えられないし、このジャケットを見るたび目の前でデニムジャケットを小中さんが、色々と説明をしながら縫製して頂いた姿を一生思い出す。
それは、ゴローズの高橋吾郎さんが自分のためだけに彫金してくれた作品を手にするのと、寸分違わない幸福であろう、と思うのです。
こんなプライスレスな価値を、一人でも多くの方に伝えるにはどうすればいいのだろうか?そんなことを考えながら、特別なプロジェクトの企画がスタートしたのでした。
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本日もご一読、ありがとうございました。
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