こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
本日は、ジーンズの「リメイク」に関してのお話です。
皆さんは、ジーンズを「リメイク」したことは、ありますか?
ジーンズの「リメイク」と、補修・お直しの「リペア」とは似ているようで違います。
原作を修理し、原作に近い形・状態に戻す作業は「リペア」。
そして原作が同じでも「別の作品」として作り変える作業は「リメイク」です。
「リメイク」は、“作品”を作る作業=アートワークな訳ですから、本来は「これまでどのような作品を作ってきた、どのアーティストが作品を手がけたのか」が、そのアートの評価を少なからず左右する要素だったりします。
ピカソがこのような絵を描くから価値があるのであって、同じ絵を小学生が描いても価値が無いのと一緒で。
よって、「だれだれ作のリメイクジーンズ」と言うブランディングがあってしかるべきなのですが、今の所「リメイクのアーティスト」という存在が世にクローズアップされる気配はありません。
おそらく、消費者側もリメイクとリペアの境目が曖昧ですし、そもそも名だたるジーンズブランドですら、リメイクは古着加工の延長程度の認識でしょう。
彼らが加工モデルにワッペン貼っただけで「リメイク風」などと説明して売っちゃったりするものですから、消費者の間に「ワッペン貼るのもリメイク=簡単なお直しレベルの作業」というイメージになっている人も少なくありません。
残念なことに、人気のリメイク作品があれば、模倣した商品が各社から出てくるのは日常茶飯事、リメイクのデザインに対する意匠やそれを作るアーティストに対するリスペクトなんて無く…。
「リメイク」をアート作品と見なすカルチャーがアパレルでは成熟しておらず、結果「リメイクアーティスト」が世間で認められる環境にはまだなっていません。
これじゃぁ、リメイクだけで食べていくのは、本当に難しいことでしょう。
そんな中、海外でリメイクの面白いアプローチを見せているブランドがあります。
本日は、そんなお話。
目次
ATELIER & REPAIRS
概要
リメイクに関して、新しい展開をしているのが、今日ご紹介するロサンゼルス発の「ATELIER & REPAIRS」。
35年間、数々の有名アパレルブランドのマネジメントに関わり、生地(テキスタイル)に関しても膨大な知識を有するモリッチオ・ドナーディ(MAURIZIO DONADI)氏が2015年に立ち上げた、比較的新しいブランドです。
世の中の古着やデッドストックをモリッチオ氏のフィルターを通してリペア・カスタマイズされたアイテム群はどれも1点物。
ベースとして使用する素材はヴィンテージから最近のものまで多岐に渡り、昔ながらの
技術&最新の縫製テクニックをミックスし、オリジナリティのあるアイテムを作り上げています。
と、…ここまでは、良くありがちなブランドストーリー。
では、この【Atelier & Repairs】のどこに、リメイクの新しい可能性を見出しているのか?
それは、「リメイク」のコンセプトそのものを作品として「群」で発表すると言う手法についてです。
これらは全て紛れもない「一点物」ですが、その単品ではなく、その作品を構築した「リメイクのコンセプト」をこのような形で打ち出し、ブランドのリメイクのデザインを発表しています。
リメイクのコンセプトを強く伝えるコレクション
このモリッチオ氏の【Atelier & Repairs】のリメイクは、時期によってリメイクのコンセプトが変化していきます。
それはまるで、アパレルブランドのシーズン・コレクションを見ているかのように。
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中でも、使う生地のセレクトが毎回面白いのが特徴。
モリッチオ氏のインスピレーション次第で、リメイクのベースとするアイテムだったり、そのリメイクに使うツギハギなどのテキスタイル、そしてそれらの使い方(縫製方法)が変わります。
それを1点だけ作るのではなく、「群」で作りこんで発表し、世界の店頭で販売するのです。
こう見せることで、このリメイク作品=【Atelier & Repairs】のデザインとして認識されるようになります。
基本は「一点物」のリメイクの世界において、こうやって「リメイクに使うベース」「使うテキスタイル」「手法」を軸に、アイテムを群で制作してシーズン毎に見せる「リメイク業者・ブランド」なんて、今までありませんでした。
実際に独特の生地使い、テキスタイルへの知識も含め、モリッチオ氏のリメイクデザイナーとしての個性が作品から強く見られます。
こういう展開をされると、【Atelier & Repairs】は、次にどんな新しいリメイクで来るのか?と言う楽しみが出てきます。
こういう感情は、他のリメイク屋さんを見ていては出てきません。
【Atelier & Repairs】のモリッチオ氏のリメイクの作品は「加工の延長」ではなく、デザイン=アートとして市場から受け取られ、バーニーズやアローズなど、名だたるセレクトショップでの取り扱いが始まっています。
つまり、彼らは「アーティスト」になった訳です。
彼らの展開は、リメイクの職人の新し世界を切り開く、今までに無い価値を持った一つの理想形かもしれません。
MAURIZIO DONADI氏は、あのお方。
この【Atelier & Repairs】の創業者のモリッチオ・ドナーディ(MAURIZIO DONADI)氏。
どこかで聞いたことがあるなぁ・・・と思ったら、リーバイスのLVCを担当してた人だ!
(詳細を書いた過去の記事はこちら→【Levi’s vintage clothing】)
それまでの小手先のモノづくりではなく、ヴィンテージを理解し、ディテールを商品に再構築し、神がかったプロデュース能力でLVCを再建し、今の礎を築いた人です。
これを聞いて、納得。
コレクションの見せ方、コンセプトの作り方、伝え方。やっぱり「すごい人は、何やってもすごい」と思い知らされましたね。
そんなこともあって、これからもモリッチオ・ドナーディ(MAURIZIO DONADI)氏の【ATELIER & REPAIRS】は頭の片隅で覚えておきたいところ。
そして彼が、新しい【リメイク】の価値を創造していく姿に期待しましょう。
尚、日本ではUNITED ARROWSやジャーナルスタンダード、町田のアメカジの名店「COUNTRY」さんで購入可能のようです。
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本日もご一読、ありがとうございました。
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