こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
日本の雑誌に載ってないから、有名なファッションサイトで特集されないから、という理由で認知が広がっていない良プロダクトは世界にたくさんあります。
そんな「モノ」にスポットライトを当てられるリアルなアメカジブログでありたいと思っていますが、そんな私が今、自信を持ってお勧めしたいのは【PF Flyers(ピーエフ・フライヤーズ)】。
今の時代において、貴重なmade in USAの、質実剛健なスニーカーを作るアメリカのスニーカーブランドです。

PFフライヤーズ? made in USA?
このキーワードに違和感を感じたあなた、正解。
実は2014年まではニューバランス・ジャパンが代理店となって日本でも流通していたので、知っている方もいらっしゃるでしょう。
ただそのイメージはあまり良いモノではなく、その時はコンバースに似た、東南アジア製の安価なキャンバススニーカーを作るブランドでした。
2014年に撤退し、流通からその姿は消えたのですが、それすら特に話題にならなかったほど。
しかし、そのPFフライヤーズ…今、大きな変革が起きています。
made in USAとはどういうことか?
今日はまずPFフライヤーズの正しいヒストリーの理解をしていただきながら、
なぜ日本では撤退したのか?
日本から撤退した後、何が起こっているのか?
そして、なぜ今、お勧めするのか?
一つずつ紐解きながら、PFフライヤーズの魅力について語りたいと思います。
目次
PF Flyersの名前の由来
![PF FLYERS [GROUNDER]ー28](https://www.aiirodenim.com/wp-content/uploads/2018/03/d948b3ca1d58f0557c56448da8c33a6d-800x533.jpg)
PFフライヤーズの魅力を理解して頂くためには、まずはその名前の由来を知るのが良いでしょう。
PFフライヤーズのスニーカーに共通する大きな特徴は、特許をとったインソール『Posture Foundation(ポスチャーファンデーション)』にあります。
この頭文字「P・F」がブランド名の語源。
特許をとったインソールの名前をブランド名につけることから分かる通り、「はき心地」にこだわりを持つスニーカーブランドでした。
特許を取ったインソール『Posture Foundation(ポスチャーファンデーション)』とは?
![PF FLYERS [GROUNDER]ー21](https://www.aiirodenim.com/wp-content/uploads/2018/03/28469af767c0b62e8b08ed49fd05907f-800x533.jpg)
では、このインソール『Posture Foundation(ポスチャーファンデーション)』とはどのようなものか?
アメリカで有名なタイヤメーカーであるグッドリッチ社がタイヤの製造法を用いて、人間の足裏の骨格に合わせる形で土踏まずのアーチ部分を盛り上がらせ、正しい姿勢のサポートをするインソールとして1930年代に開発。当時は画期的なものでした。
その技術を用いたインソールはアメリカ国内の特許を取得するに至り、そこからPFフライヤーズの歴史が始まっていきます。
その歴史を今一度、追って見ましょう。
PF Flyers(PF フライヤーズ)の歴史
特許取得のインソールと共に創業
PFフライヤーズの歴史は、先に説明した画期的な姿勢矯正インソール『Posture Foundation(ポスチャーファンデーション)』を開発したことがスタートです。
1933年のこと。この頃、まだブランドはありません。
1937年、タイヤメーカーのBF Goodrich(BFグッドリッチ)が、先に特許を取った『Posture Foundation(ポスチャーファンデーション)』のインソールを使ったキャンバススニーカーをリリース。
それがPF FLYERSのスタートです。
初めは球技やジムなどのスポーツの現場で支持されていましたが、徐々にファッションシーンの場に広がっていきます。
有名選手が使うことで、知名度も上がり、1950~1960年代にはPFフライヤーはアメリカでは知らないものはいないスニーカーブランドに成長しました。
ノスタルジー溢れる映像が、こちらで見られます↓
PFフライヤーが売却される
映画などのカルチャーの場にも登場することで完全に市民権を得たPFフライヤーでしたが、グッドリッチがスニーカービジネスからの撤退を決め、その際に当時のコンバースの親会社『Eltra Corporation』にブランドを売却。
これが1972年のこと。
ここから、PF FLYERSの悲劇が始まります。
一部のデザインはコンバースが引き継いだ
豆知識にはなりますが…さて、こちらのモデルをご覧ください。

これは、PF FlyersのAll Court(オールコート)というモデル。
しかし、何かに似ていませんか?
そう・・・コンバースのジャックパーセル。
このジャックパーセル、元々はPFフライヤーズが作ったものなのです。PFフライヤーズが売却された後、このデザインはコンバースが引き継ぎ、『ジャックパーセル』として今でも人気の続くモデルになっています。
1975年に独禁法に引っかかり、売却・解体・休眠。
そんなコンバースと合流したPFフライヤーズですが、1975年にアメリカのアンチトラスト法に引っかかり、売却に出されて実質的に解体されます。
アメリカのアンチトラスト法って本当にえぐいと思うんですが、一つの企業が大きくなりすぎた時に「市場の競争力を高めるために、独占的事業者を排除する」っていう法律。 (めっちゃ分かりやすく例えると、室伏広治選手がいると他のハンマー投げ選手がヤル気を無くすから、室伏広治選手は選手登録抹消、ぐらいの理不尽さ。)
売りに出されたPFフライヤーは、1975年からなんと2000年までの25年間、休眠状態になってしまいました。
2001年 ニューバランスが買収し、復活

一体何が起こったのか??2001年にあのニューバランスがPFフライヤーズを買収。1960年代に栄華を極め、アメリカ人の青春の思い出として刷り込まれたブランドの復活に向けて動き出しました。
この後、日本ではニューバランス・ジャパンが代理店となり、日本国内での展開を始めます。
2014年、日本の展開から撤退
その後、注目度高まるデザイナー「TODD SNYDER(トッド スナイダー)」のランウェイに使われるなど、アメリカのファッションシーンで徐々に存在感が広がり始めます。
さぁ、まさにこれから!…なタイミングで、ニューバランス・ジャパンは日本のPFフライヤーズの撤退を決定。
日本ではコンバースに対抗する低価格路線のローテクスニーカーの位置付けでしたが、成功したとは言えず、仕方ありませんね、これは。
「あまりよくないブランド」のイメージだけ日本人の心に残したまま、PFフライヤーズの日本国内での情報はここから一切途絶えることになります。
しかし、ここから本国では新しい動きが加速。
Made in USAの復活、PF Flyersの復活
翌年2015年、親会社のニューバランス(USA)が驚きのブランディングに転じます。
PFフライヤーズのオリジナルである、made in USAモデルを復活させたのです。
しかも、ニューバランスのお膝元、ボストンで。

そう、なんとニューバランスと同じUSA工場で、PF Flyersの製造が始まりました。
PF Flyersの特許インソールである『Posture Foundation』を搭載しつつ、ニューバランスのノウハウが蓄積された工場で、USメイドの質実剛健なパーフェクトスニーカーをリリースしたのです。
日本から撤退した直後の、この展開よ…。
ここに、PF Flyersの第二章がスタート。
made in USAモデル以外も、インドネシア製を中心にニューバランスによる再構築が進み、現在は以前とはまったく違う、温故知新な新しいPFフライヤーズに変貌を遂げつつあります。
ニューバランスのUSA工場で作られる、made in USAのPF FLYERS(ピーエフフライヤーズ)

New Balanceと同じ工場で作られる、PFフライヤーズ。
私自身、made in USAの信者ではありません。made in USA だよ! と言われても疑いの目で、じっくり商品を吟味します。

made in USAとうたわれる商品の中にも悪い商品だってあります。ただ作りが雑なだけっていう商品。
それに、何を根拠に「made in **」と呼ぶか、という定義も曖昧です。
例えば、パーツの全てを東南アジアで作って、日本やアメリカで組み立てだけをするパターンもあるし、極端にいえば検品と梱包作業をした国のことをmade in **と言っちゃうケースだってある。

しかし、PFフライヤーズ(ニューバランス)は70%以上の工程をアメリカ国内で行なっていると発表しています。
これはつまり、ゴムなどの原材料だけは輸入しているけど、基本的な製造はアメリカ国内で行なっている、ということだと思われます。

私自身もこれらPFフライヤーズのmade in USAモデルを実際に手に取りましたが、、、作りが非常に素晴らしい。
作りの屈強さというのか、モノの持つ質量というのか、表現が難しいですが、東南アジアメイドのスニーカーとは明らかに違う。異質。
例えが難しいのですが、レッドウイングのブーツを見た後に、White’sを見た時の衝撃、みたいな(レッドウイングもアメリカですけどね)。
ニューバランスがアメリカ工場で作れば、ローテクスニーカーもこんな風になるのか、と驚きを隠せません。断言します、PFフライヤー、完全に始まってる。
このプロダクトの新しい魅力を伝える正規の情報ルートが日本にないのが残念です。
製造現場の様子は、Heddelsによるこの動画がとても参考になります。
メインのmade in USAモデルは、現在は主に2種。
今後、このmade in USAラインナップは増えていくことが予想されます。
MADE IN USA CENTER HI
こちらがメインの復刻アイテム『CENTER HI(センターハイ)』。
14ozのヘビーなキャンバスに、アイレット付近やライニングにはレザーが使われている一品。
くるぶしあたりに取り付けられた「made in USA」パッチが眩しく輝きます。
残念ながら・・・この写真では全くこのプロダクトの良さが伝わらない。なんで写真にすると、こんなにチャチく見えるんだ??
分かりにくいけど、トゥキャップもレザーです。 ヘビーなキャンバスとの組み合わせがかっこいい(実物は)。
ライニングもブラウンのフルレザー。それらを深めの縫い目と共に(良い意味で)荒々しく縫製されたステッチ。
実物を目の前にすると、ゾクッとします。
特に特徴的だったのが、このソール。 made in USAの刻印あり。
ゴムの質感、その蒸着のフィット感、角の処理など、どれもが「異質」と言えるレベルの作り。
が、これが全く写真では魅力が伝わらない。触った時の手触りというか、重さというか、質量が「半端ない」。
ジーンズが好きな人、特にザラザラしたデニムが好きとか、ヘビーオンスが好きとか、そんな人にとって心が踊る、そんなスニーカーだと思います。
公式の価格はUS150ドル。
色違いにブラックあり。 個人的にこれがクソかっこいい。
ネイビーもあり。このカラーはレザーとキャンバスのカラーに差があるからバイカラーみたいに見えます。
デニムに合うだろうなぁ。
なお、ローカットもあって、こちらは価格US145ドル。
悪くは無いけど、made in USAパッチが無いのはちょっと寂しい。
MADE IN USA WINDJAMMER
新作のmade in USAラインは、この『WINDJAMMER(ウインドジャマー)』。
発色の良いUSA産のスエードとキャンバスのコンビ。
見た目、バンズっぽい。
先のCENTER HIと同様、この写真では魅力が全く伝わらず、残念ですが、、、実物は非常に良い出来です。
ライニングはCENTER HIと同様にレザー。ローテクスニーカーながら、高級感があります。
各パーツが精巧に縫製されており、隙間なく密度が濃いって感じ。ギュっ&ずっしりって感じ(笑)
(どんどんボキャブラリーが崩壊中・・・)
ライトブーツに近いスニーカーって感じでしょうか。
ソールの出来が、これもやはり素晴らしかった。
カラバリはこの黒もあるし、
この赤もある。
公式の価格はUS120ドル。
残念ながら、日本には代理店がありません。
ということで、こだわりのある皆さんには一度手にとって頂き、ご自身でその良し悪しを判断頂きたい、これから注目のプロダクトだと思うのですが、すでにニューバランス・ジャパンが撤退している中では正規ルートでこれらのアイテムを見ることが出来ません。
ネット系で並行輸入で販売しているところはありそうですが、手にとって見ることが出来る店舗があるかどうかは・・・どうでしょう??探せばあるのかな??
今、made in USAのPFフライヤーを置いているお店って、なかなか感度が高いショップだと思います。
【まとめ】過去のイメージは捨て、今の姿を正しく評価したい。
一度撤退すると、流通や消費者のイメージが良く無いので、ニューバランス・ジャパンが再び正規に展開するのは難しい or 時間がかかるでしょう。
とは言え、このスニーカーの作りは素晴らしく、made in USAモノが大好きな日本のアメカジファンが知らない状況・手に取れない状況が続くのはちょっと違和感があります。
どこか、代理店展開してくれるといいのですが。
何でも手に入ると思っている日本でも、流通の事情で知り得ないもの・手に入らないものって、意外にあるんですね。
私が今、一番おすすめしたいPF Flyersのスニーカーは…
![PF FLYERS [GROUNDER]ー09](https://www.aiirodenim.com/wp-content/uploads/2018/03/b09bede09ca0a7d513b230bf1ee4b423-800x533.jpg)
そんな今のPFフライヤーズのモノづくりに感動を覚えた私。
最近、手に入れた一足があります。今一番、人に紹介したいスニーカー。
ルックス・作り・価格、どれも最高。今一番オススメしたいスニーカー、PFフライヤーズ『GROUNDER』レビュー(PF FLYERS)
最近はインスタもマメに更新中なので、宜しければフォローください↓
本日もご一読、ありがとうございました。
いつも楽しく拝見しております。
久しぶりのコメント失礼します!何でも手に入る時代、世の中とは言いますが、日本に正規代理店がないと目にすることが難しい、また正規代理店があるがために海外モデルの購入が困難という現状が逆に物欲をくすぐられると言うか、神秘性が増すと言うか。
逆に本当に何でも手に入ればそれほどありがたみを感じないのかとも思います。日本で近い将来、欧州車の関税撤廃という話は逆に欧州車への憧れが薄れてしまうのかもしれません。
何が言いたいのか分からなくなりましたが今後も楽しく拝見させていただきます!
>ひでゆきさん
コメント、ありがとうございます。
おっしゃること、めっちゃわかります。
昔の雑誌(特にポパイとか)では、例えば日本に流通がなくても、海外の面白いモデルとか積極的に紹介してたんですよね。
それが私たちにとってはまさに「神秘的」で、どうやって手に入れるのか分からないから、憧れのアイテムとなり、物欲が日々刺激されたものです。
一方、近年は、雑誌がそういうアイテムを載せなくなりました。
今の雑誌社は売上が非常に厳しいそうで、記事の多くが提供広告なので、要は店舗やメーカーが販売する・読者が買えるアイテムばかりに
なってしまったんですよね。逆に言えば、昔のように買えない神秘的なモデルは掲載すらされないため、日本では認知もされないっていう感じ。
雑誌社もビジネスだからそれは仕方が無いことだと思いますが、その隙間を埋めるのがウェブの役目であろうと思って居ます。
ぜひ、またコメント、宜しくお願いいたします☆