こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
なんでも商品のディテールが大好きな私。特にアパレルに関しては、素材表記や縫製まで細かく見る癖が付いており、それはまさに病的な程。
好きが故に、時間が許す限り情報を集め、実際に色々なショップに足を運び商品を見て触れて、時には購入するのですが、最近は心を揺さぶる様な…感動を覚えるプロダクトに出会える機会はめっきり少なくなりました。
私の目が肥えたという以上に、正直なところアパレルブランドの商品の画一化・同質化の方が問題が大きく、これはアメカジブランドも例外ではありません。
ジーンズなどのデニムアイテムはまだ良いのですが…
トップスとなると、Tシャツやスウェットやネルシャツなど、決まったアイテムを、おそらく同じ工場で、同じ様な作り方でオーダーするため、各社ブランドタグがなければ恐らく「どこのブランドか分からない」というラインナップではないでしょうか。
その事を私は、日本のアメカジブランドのプロダクトの品質が頂上に辿り着いた結果である、と理解しようとしていました。これ以上、やりようが無い状況なのだ、と。
しかし、ある1枚のTシャツとの出会いが、モノづくりの持つ無限の可能性を改めて考えさせられるきっかけとなりました。
目次
衝撃の出会いに心震えた、ある夏の日
とある夏の日に、
とあるセレクトショップで出会った、
とあるTシャツ。
・・・衝撃が走りました。
その1枚のTシャツの、あまりのクオリティの高さに。
私がこれまで考えてきた「良いTシャツ」の基準を遥かに超えたその1枚。
「アメカジ的なTシャツってこんな感じだよね?」という固定観念に捉われず、職人的なモノづくりでクオリティを積み重ねて来た様子が一目で伝わってきたのです。
これまで出会ったことが無い、品質至上主義のTシャツ。
ここまで、心を動かされる商品に出会えることって、そうそうありません。
そのTシャツを前に、「感動」「感銘」「興奮」「感服」「尊敬」、ありとあらゆるポジティブな感情が吹き出した、あの日。
こんなTシャツを作れるブランドの名は、【Jackman(ジャックマン)】。
恥ずかしながら、その日まで私は知らなかったブランド。
当然、そのセレクトショップでそのTシャツを購入したか…といえば、そうではなく(!?)、むしろ「このブランドの直営店に行って買いたい」という気持ちになり。
後日、その【Jackman】の直営店に行って来ました。
本日は、このJackmanの魅力についてお話ししたいと思います。
Jackman(ジャックマン)について語る
Jackman(ジャックマン)の歴史
1949年に福井県で創業した田辺莫大小製作所(タナベメリヤス)は、自社工場で日本初の野球用ストッキングの製造を行うなど、質実剛健さが必要とされるスポーツアパレルの部門で高い評価を受けた国内アパレル工場です。
創業者の田辺貢がアイデアマンであり、創意工夫の中で様々な発明や特許を取得したほど。モノづくりの根底に「技術と工夫」を置く、数少ない職人集団のアパレル工場と言えるでしょう。
その田辺莫大小製作所(タナベメリヤス)から生まれたのが、【Jackman(ジャックマン)】。
主に、Tシャツやスウェット生地など、メリヤス編みのプロダクトを中心に展開するブランドです。
今でも田辺莫大小製作所の時代から60年以上続く自社縫製工場で、Union Specialなどのヴィンテージミシンをリペアを繰り返しながら使用し、その商品が作られています。
Jackmanを端的に表すと、
質実剛健なスポーツアパレルを作ってきた国内自社工場と職人によるファクトリーブランド。
と言えるでしょう。
このバックストーリーを聞けば、アメカジ好きならこのブランドが気になるはずです。
Jackmanの商品ラインナップ
そんな歴史をもつJackmanが今、展開するラインナップはそれほど多くありません。しかしそのどれもがこだわりに満ちた素晴らしいプロダクトの数々になっています。
Jackmanのコレクションページは、こちら。
スウェットやTシャツを中心に、ベーシックなプロダクトを展開しています。
しかもその殆どがプリントなどのない、見た目は非常にシンプルなもの。あまり新鮮味がなく、スルーしてしまいそう…
しかしJackmanの良さは、写真では全く伝わりません。
私が店頭でTシャツを見て衝撃を受けた、あの品質。
そのシンプルな見た目とは裏腹に、「メリヤス編み」で70年近い歴史のある自社工場と職人が作りだす素材の良さ、縫製の美しさにあります。
写真では伝わりませんが、手にすれば絶対、すぐにわかる。
そんな商品の数々を見に、閉店間際の直営店へGO。
Jackman直営店
ということで、東京・恵比寿にあるJackmanの直営店に行って来ました。自然の中に溶け込む、緑で覆われた素敵なショップ。
野球のアパレルがブランドのルーツということもあり、店外にはスコアボードがあるのが印象的。
店内にも、ベースボール関連の写真やボールが飾られていました。
尚、この恵比寿の本店は2017年末にオープンしたばかり。場所も恵比寿の中心から外れた住宅街にひっそりと佇むため、静かな雰囲気の場所です。
天井が高く、居心地の良い雰囲気の店内には、Jackmanの全てのラインナップが揃っていました。
Jackmanの商品に触れてみる
こちらが、私が衝撃を受けて、今この場に来るきっかけを与えてくれたTシャツ[Dotsume Pocket T-Shirt]。
なんとマイサイズが完売というオチ…。あの時、セレクトショップで買っておけば良かった…。
このTシャツ、パッと見は普通のTシャツに見えますよね。でも、手にするとそのクオリティの違いに愕然としますよ。
非常に目が詰まった厚い生地が使われています。当然、綿100%。
ヘビーオンスのTシャツは私も数々見て来ましたが、ここまでの素材は初めて見ました。
それも、ただ分厚いだけではなく、カラッ&ざっくりとした手触りと風合いが、触っていて心地良い。
ヘビーオンス特有の「息苦しい」感じが無いのです。
これも、頑丈さと快適さが要求されるスポーツアパレルの世界で「メリヤス編み」を極めたJackmanの国内自社工場で作るからこそ出来る素材であり、他で真似の出来るものではありません。
私はこれまで、Tシャツは強度を考えると「バインダーネック」が正義だと思っていました。
しかし、そんな固定観念はこれを見て崩されることになります。
このネック部分は安いTシャツによく見られるタイプの様に見えますが、違います。Jackmanのこのネックは、言って見ればスウェットの袖のリブの様な感じ。
厚みと柔らかさがあり、長年の着用にも伸びずに形をキープするもの。
実際に店頭で着させてもらいましたが、このネックは伸縮性もあるので着用時もストレスなく快適でした。こういうところもエポックメイキング的な工夫を見せてくる、Jackman。
生地の良さも含めて、抜群の耐久性。
胸ポケットにも工夫があり、汗がポケット中のものに染み込まないように、浮いた形でつけられてます(説明が難しい)。
ポケットのトップのリブがアクセント。このように、Jackmanには古き良き時代の良さを持つプロダクトを、今の時代に合わせて快適に着てもらおう、という姿勢が製品に見てとれます。
無類の自社技術を有しながら、チャレンジ精神も持つこのJackman。
「職人のニュージェネレーション」のように感じます。
Tシャツにも形や色がたくさん揃っていますが、いわゆるアメカジブランドのようにヴィンテージの完全な再現に固執せず、良い部分はヴィンテージを踏襲しながらも、着心地を改善できる部分はパターンを変更するなど、様々な工夫が施されています。
もちろん全て、Jackmanの国内の自社工場で作られているもの。
こちらは七分袖。
アメカジブランドでも良くリリースされる、いわゆるベースボールシャツになりますが、Jackmanはもともとベースボールのアパレルが本業のため、作り方の説得力が違います。
他にも、最近一押しのコットン100%のワッフル編みプロダクトがあったり、
これからの季節、気になるスウェット系も充実。スウェット…素晴らしかったなぁ…。
これらの商品の凄さ、こだわりの凄さはここだけではとても、語りきれません。とにかく一人でも多くの方に、このプロダクトの数々に触れてほしいなぁ、と。
ブランドのこと・商品のことを
Jackmanの商品のこだわりについて解説しているサイトは今は殆どありません。Jackman自身のHPでもルックブックはありますが、商品のディテール解説は多くはありません。
しかし、Jackmanの店頭で手に入るカタログを見れば、コレクション毎にモノづくりの拘りの内容がびっしり。
そこには素材や縫製への拘りに加え、創意工夫のポイントなど、このJackmanのモノづくりへの姿勢が良くわかる内容になっています。
店頭に行かれた方は是非、隅から隅まで熟読をお勧めします。
こういうカタログを出せるブランドは、商品に自信があるブランドだからでしょうね。
【まとめ】いずれアメカジの重要ブランドの一つとなる『本物』の職人
私もこれまで様々なアメカジブランドのTシャツ、スウェットを購入し着用してきましたが、それらとJackmanは目指すモノが違うのでしょう。
職人気質にヴィンテージの再現を目指すブランドか、職人気質に品質を目指すブランドか。
Jackmanは後者であり、将来ヴィンテージ衣料として評価される可能性があるのは、このJackmanだろうと思います。
どれだけ言葉を重ねても、私の文章力ではこの魅力を的確に表現出来ません。
百聞は一見にしかず、ぜひ一度、そのプロダクトに触れて頂きたいと思います。
派手なデザイン性はありませんが、素材・編み・縫製・日常着としての工夫、全てにおいて価値ある「本物のモノづくり」がここにあります。
職人のこだわりに溢れたモノづくりがされ、質がよく、耐久性がある。
まさにアメカジの真髄を体現するプロダクトであり、いずれアメカジの中でも重要なブランドの1つとして認知されることでしょう。
Jackmanが買えるショップはどこ?
確実に買える場所として、Jackmanのオンラインショップがあります。
しかし、やっぱりモノを一度、手にとって見て欲しいですね。
直営店以外だと、東京都内でも限られた場所にしか卸をしていないそうです。東京以外の取扱情報はわかりませんので、一度ブランドさんに問い合わせしてもらうのが早いかと思います。
Jackman 恵比寿(直営店)
住所:東京都渋谷区恵比寿南2-20-5
TEL:03-5773-5916
定休日: 月・火
最近はインスタもマメに更新中なので、宜しければフォローください↓
本日もご一読、ありがとうございました。
固定概念じゃなくて固定観念が正しい言葉ですよ。
>金田一さま
ご指摘、ありがとうございます。お恥ずかしい限りです。修正しました。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
懐かしくて書き込みます
わたし田辺莫大小64〜5年前福井県武生の工場に勤務しておりました。
当時の工場では社長さんご夫妻にはいろいろとおせわになりました、当時は野球、サッカーその他スポーツ用ストッキングなど縫製が主な仕事で、休日にはお花お茶の作法なども習わせていただきました。
昭和32年東京支所(浅草橋)丹尾所長の元で3年ほど勤務し縁あってこちらで結婚し現在に至りました、孫のTシャツを検索中にビックリするやら懐かしいやら、凄いファッションブランドを育て上げおめでとうございます。
Jack anの益々のご発展お祈りいたします。
>中山様
コメント、ありがとうございます。
Jackmanの発展の歴史を知る方から直接メッセージいただき、感謝申し上げます。
お話を少しでもお伺いし、従業員の皆様と共に工場と会社が成長していった様子が、目の前に浮かぶようです。
大量生産・大量消費の時代の流れの中で、国内で実直に品質重視を守り抜いたタナベさんの姿は、規模が大きくなった今もまさに日本の職人。
これからますます世界で評価される、日本を代表するブランドさんだと思います。
福井県越前市(旧武生市)出身の63歳の男です。先日、ユーチューブでアメカジの動画を見た際に”タナベメリヤス”の名前が出て来た時には、すぐに思い出せなかったのですが、思い出した瞬間、大変懐かしくなり、動画を何度も拝見しました、未だにこの歳でアメカジに取り付かれている”おじん少年”です。タナベメリヤスさんには、親戚や同級生など沢山の知り合いが勤めていました。学校の運動着やPUMAやWILKINSONなどのブランドのウエアを製作されていました。武生市内には多くの縫製工場があり、私の母も縫製職人一筋に勤めあげました。
母の工場では、VAN、JPRESS、マンシングウエア、ゴールデンベアーなどのシャツを製造していました。ある日、私が自分で買ったシャツが行方不明になり、気が付いたら、雑巾として母に使われていました、”こんな作りの悪いシャツを着るもんじゃない”と怒られたことが記憶に残っています。小さい時から、有名ブランドのシャツとは知らず、着させられていたので、今思うと贅沢ですが、自然にアメカジ気質が根付いていったのかもしれません。武生市内の縫製工場が切磋琢磨し、技術を磨き上げた職人が多数おり、Jackmanさんの成功は、その歴史に支えられたものであると思います。益々のの発展をお祈りすると共に、武生を”アメカジの聖地”として、育て上げて下さい。
応援しています。近々、東京の町営店の方にもお邪魔したいと思います。
>うめさん
この度は貴重なコメント、ありがとうございます。
タナベメリヤスさんで作られる商品のこだわりは一朝一夕でできるものではなく、それまで生産に携わってきた多くの方の経験や知見の積み重ねで今のクオリティにたどり着いたものと理解しています。
きっとうめさんのご親戚やお友達、また同じく縫製に携わられてきたお母様お一人お一人の、一日の積み重ねが世界に誇る品質に至っているのでしょう。
大変貴重なご経験かと思いますし、またそれが身近にありすぎて、贅沢なものとは思わなかったというエピソードは情景が想像でき、微笑ましく感じました。
以前、同じように、タナベメリヤスさんで働かれていた方からメッセージを頂いたことがあります。
その方もうめさんと同じように、当時を懐かしがられており、また非常に良い思い出だったと語られていました。
うめさんのお話と併せて、福井のものづくりの現場の雰囲気がよく伝わりました。ありがとうございます。
これからもサイトを見にきてくださいね。