こんにちは、インディです。
本日は「経年変化をデザインする」に関して、昨日の続きです。
目次
経年変化デザイン
コバステッチによるデザイン
コバステッチとは、生地の端を縫う際の、縫い目と端の隙間のことです。
縫製を指示する際に「ここのコバは**mmで〜」という形で言います。
下、生産年代が違う、同じサイズのウエアハウス1001XX。
同じモデルでも、1mmくらい違います。
右のほうが幅大きいですよね。
これで、バックポケットの雰囲気が若干変わります。
これは微妙な違いでしたが、さらに差が大きい例があります。
桃太郎ジーンズのバックポケットのコバはさらに大きい。
感じ方は人それぞれでしょうが、
私はバックポケットのコバが大きいと、見た目が柔らかい印象になるように感じます。
ジーンズの場合、このコバのエッジが白く色落ちする傾向がありますから、これを企画者がどういう意図で幅を設定するか、というのが経年変化デザインになります。
バックポケットの端伏せ縫いの幅によるデザイン
通常、バックポケットの上部は2回または3回、折り曲げられて縫われています。
その伏せる幅によっても、経年変化後の見た目が変わってきます。
フルカウントなど、通常は大体1cmくらいのベーシックな幅。
桃太郎ジーンズのように、幅を広く端伏せしているケースも。
その伏せ幅が大きいほうが、バックポケットの上部に現れる白いアタリの幅も大きくなります。
みなさんのお気に入りのジーンズ、どれくらいで縫われていますかね?
ピッチと番手、縫い代で変わるアタリ
先日の繰り返しになりますが、
縫製糸の番手、縫製のピッチは経年変化をデザインする上で非常に重要な要素です。
経年変化後の雰囲気がはっきり変わってきます。
ベルト部分の縫製や、ヨーク部分の巻き縫いなど、並べてみるとブランドによって縫製がかなり違うのが分かります。
下の写真は同じ色味のデニム・同じ色味の縫製糸をあえて選んで並べてみました。
糸の番手(太さ)とピッチ(運針数)があちこち違うのがわかるかと思います。
ピッチと番手をいじるだけで、雰囲気がガラリと変わる。
アタリの出方も違いますよね。
どっちが良い・悪いではなく、
どういう意図で企画者がデザインをしていくか、という点が重要ということですね。
チェーンステッチにも細かい指定でデザインをする。
チェーンステッチは裾だけでなく、ジーンズ全体の縫製の各所で使われています。
チェーンステッチには上糸と下糸という2本の糸が使われています。
(写真のように)輪っかが繋がっているように見えるのが下糸です。
で、この上糸と下糸、これが同じ糸である必要がありません。
上糸と下糸で色を変えているブランドもよく見かけます。(黄色とオレンジ色のMIXとか)
そして、色だけでなく、上糸と下糸で番手(太さ)を変えることもできるのです。
例えば上糸は太い8番手で目立つように、
下糸は肌に触れるので、太い糸よりも細いほうが良いだろう、ということで、
ちょっと細い20番にする、とか。
見えない糸にも、どういう意図を持ってデザインするか、ということが重要になります。
細部に至るまでデザインし、意図して指示をしていくことが重要
ここまでざっとお話ししましたが、
本当に納得できるジーンズを生み出すために、
「ジーンズを構成するすべてのパーツ」に対してデザインを考え、生産に向けて指定していく必要があります。
それも「ピッチは少なく、糸は太く」という様な漠然としたイメージではダメで、
「ここは**社の**色の縫製糸で、番手がいくつで、縫い代がいくつで、ピッチがいくつで」
といった形ではっきりと、意図を持って。
今回JOURNEY FACTORY重本さんからのお話をお伺いし、
今の時点でもまだまだやるべきこと・出来ることがあると痛感しました。
それと同時に、ジーンズ作りが更に楽しくなってきましたよ!
今は、私が所有する各ブランドの細かい縫製仕様がどうなっているか、
その結果、どういう経年変化を見せているか、というものをデータ化しています。
そうすることで、自分が理想とする経年変化後のデザインがしやすいと考えたので。
そして、糸の種類(メーカー)、太さ、縫い代、ピッチの指定を細部まで考え、
セカンドサンプルに向けて(見よう見まねで)細かい仕様書を作って行きます。
本日もご一読、ありがとうございました。
ぜひTwitterもフォローください。