こんにちは、インディです。
オリジナルのジーンズに付属させるセンターボタン、シルバー925で作りたい!
・・・の前回からの続きです↓
先日の工場での打ち合わせから1週間ほど過ぎたある日、
鋳造の型を作るための3Dデータがメールで送られてきました。
型を作るために3Dデータで詳細を詰める
実際に送られてきたデータはこんな感じです。

通常、シルバーの型を作る場合はワックスモデルという、ワックスの塊をナイフやら棒やらを使い、
職人さんが腕を振るい、削ったりくっつけたりしながらジュエリーの形を作り、それを元に型の制作を行います。(ロストワックスという技法)

一方で、最近は3Dで制作したデータがあれば、それを元に自動でワックスモデルを制作できる機械=専用の3Dプリンターがあります。
つまり、3Dデータとほぼ同じ形のデザインのジュエリーが出来るようになっています。
これまで人の手による制作では難しかった、複雑で細かいデザインも可能に。
この手法のメリットは、原型を作る職人の腕で商品のクオリティが変動することがないこと。
必要なのは、センスの良い、3Dソフトを使えるデザイナーさんということになります。
また何回でも、幾つでも同じ型を作れるその量産性が特徴なのですが、
それも一長一短で、3Dデータで作られた型はどこかCG的・機械的であり、
職人さんが手作業で作ったワックスモデルの雰囲気は出せません。
どちらが良いという訳でなく、ジュエリーブランドさん毎のビジネスモデルで違うんです。
ワンオフで作られるネイティブ系シルバーに多いのは、型を使った量産=「鋳造」ではなく「彫金」になり、全てが手作業のため職人の腕に100%依存します。
彫金で作られたジュエリーと、鋳造で作られたジュエリーでは温かみやオーラなどが全然変わってきますが、彫金の場合、全く同じ形にするのが製法の特性上困難ではありますから、精度を必要とするボタンなどには向かないかと。
この3Dのデータがあれば、日本で作っても、その他どの国で作っても、同じ型が出来る時代になりました (型を作り鋳造した後、最終的な仕上げには職人の腕が必要になりますが)。
いわゆる量産型のシルバージュエリーの、企画から生産までのスケジュール、コスト、工程は以前より大幅に短縮化・効率化されているはずです。(材料費は値上げ傾向ですけどね)
で、タイでは人件費が圧倒的に安く、そしてシルバーの素材も日本より多少安い。
ということで今回のシルバー素材のボタン制作にはぴったりな環境でしたよ。
今回の工場でも同様の3Dプリンターを使いワックスモデルを作るということになり、
送られてくる3Dデータを私が確認し、細かい修正指示をメールで行い、
また3Dデータの修正版が送られてきて、その調整依頼の繰り返し。
この作業に、実に1ヶ月くらいかけ、最終的にOKを出させていただきました。
製造の最終見積もりを確認後、サンプル生産に進んでいます。
お値段はいくらでしょうか?
まず、今回の3Dデータの製作ですが、これは無料でした。
金型代は1つ50USD。
ジーンズのボタンフライは2種類の大きさなので、合計100USD、約1万2千円。
前回のブログで書きましたが、鉄ボタンの場合、金型代は2種類で約70万円でしたから、
全然安い〜!
生産の際には、鋳造時に使うシルバーの量=重さで値段が変わりますが、
今回の依頼のボタンで言えば、1つ135THB(タイバーツ)、約400円です。
ジーンズのボタンフライに、ボタンは4つ必要ですから、1着分のシルバーボタン代合計は、約1,600円ということになります。
ジーンズの副資材(ボタン)としては「ありえないくらい、めっちゃ高い!」のですが、
金型代がめっちゃ安い!のと、
オリジナルでシルバージュエリーを生産した費用と考えると、安いと思いませんか?
世に出回る量産型のシルバージュエリーの原価って、いくらなんだろうと考えてしまいますね。
気になる最低ロット数は?
そして、今回のシルバーでのボタン製作の良いところ、
それは「最低ロット数」が・・・ない!
1個からでも、作ってくれます(今の工場さんだけかもしれないですけどね)。
つまり、今回の個人がオリジナルジーンズを企画するというプロジェクトで
ボタンをシルバーで制作するというオプションは、、、
前回お話しした「オリジナルボタン制作」のロットの問題点を解決する
一つの選択肢になるということです。
次の機会に、上がってきたサンプルをお見せします。
それを想定した通りに、ジーンズにしっかり取り付けられるのか?
取り付けられたとして、繰り返しの着用や洗濯などで強度は大丈夫なのか?
こちらを私自身、テストしてみる予定です。
本日もご一読、ありがとうございました。
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