こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
ビームスなどのメジャーなセレクトショップでも取り扱われ、「ジャパンデニムブランド」の中でもステージの違う展開を見せる、orSlow(オアスロウ)。レプリカ系デニムの作り方の基本を押さえながらも、現代的なシルエットやアレンジが上手く、シンプル&ナチュラルなファッショニスタの支持を集めています。
そんな多くのファンを抱えるブランドが、「オアスロウの考え方、思いを約5年の年月をかけて一冊の本にしました。」という初の書籍が発売中。
その名も『orSlow BOOK』。
この手のデニム・アメカジ関連書籍はとりあえず購入することにしている私は、本著も「息をするように」ポチってゲット。
本日はそのレビューをさせて頂きたいと思いますが、結論から申し上げると「ブランド(orSlow)らしく無い、残念な書籍」と言わざるを得ません。
目次
『orSlow BOOK(オアスロウ ブック)』
概要
- 定価:2,800円(税込)
- 著書:有限会社ベースデニムプロダクツ
- 出版社:無し(自費出版だと思われます)
Amazonなどでは販売されておらず、出版流通ではなく自費出版したものを自社流通で販売している感じでしょうか。それでは詳細を見ていきましょう。
デニム生地を採用した装丁デザインはGood
『orSlow BOOK』でまず目を引くのが、この装丁。
背表紙にオアスロウのオリジナルデニムを採用、カバーには「MUJIっぽさ」が漂う「クラフト紙」が使われており、「ナチュラル・シンプル・洗練」といったブランドイメージを感じさせるには十分なものになっており、中身の期待値が高まります。
が、この書籍。
アメカジ好きでも一度目を通せば十分で、あとは永遠に本棚の肥やしとなることでしょう。
内容
ページを開くと、パッと見はおしゃれな雰囲気。きっとこの「見た目のおしゃれさ」を重視して本著を作ったのかなぁ、と思います、内容は別として。
誌面の前半7割が公式HP上でも紹介されていたオアスロウの考え方や思いに関する項目、そして後半の3割は商品の「カタログ」で構成されています。
で、肝心の前半部分ですが…、ほとんどのページが「写真」で読むところが少ない。カタログページを除くと…文章のあるページはたったの10ページ。
しかも、この10ページの内、オアスロウのブランドの“思い”的なことを書いてあるのは1〜2ページほどか?キーワードとして「職人の手作り」と言う表記は何度か出てきますが、具体的な記述もなし。
まぁ、それは最悪、良いとしましょう。
なぜなら、誌面の大部分を構成している「写真」にて、読者へ「オアスロウの考え方や思い」を伝えるものに結果的になっていれば、手に入れる価値のある「良い書籍」となりますから。
しかし…。
どういう意図でこのプロダクトをデザインしたのか、逆に知りたい。
5年間も考えすぎた結果、思考が混乱してしまったのだと、思いたい。
誌面の大部分を占める写真も、残念。
・写真の質、ディテールが上手く伝わらない、コート処理のされて無いマットな上質紙の採用。
・“軽トラック”の写真に代表される、貴重な誌面を埋める「誰得?」な写真のチョイスの疑問。
・紙が薄いため裏側の写真が次のページに透けやすく、数少ない文章を更に読みにくくしている致命的な問題。↓
本著の大部分を構成する「写真」、それを魅力的に表現出来無い「本の作り方」。そして「何を伝えたいのか?いや、そもそも何を撮った一枚なのか?」が不明なモノがチョイチョイ間に入ってきて、不満をあげればキリが無いのです。
この書籍から伝わるものがあったかと言うと、すみません、私にはありませんでした。
…
「物作りへのこだわり」を打ち出すブランド、オアスロウ。
「一事が万事」と言いますが、これを「約5年の年月をかけて」と言い2,800円の書籍として販売するその姿勢に疑問が…。私の持つオアスロウへのイメージが急激にネガティブなものに変わってしまいました。
【まとめ】オアスロウファンにもオススメの難しい一冊
まぁ…そう言う結論です。
販売用ではなく、むしろカタログとしてフリーで配る用に作られた様な構成になっています。ひょっとして元々その方向で企画されてた?
私たちは紙媒体のメディアを買わなくなってきました。ウェブの情報の方が早くて便利だから。しかし、紙媒体には独自の良さがある。紙でしか出来ないことがある。紙だからこそ伝えらえるフィーリングやイメージがある。
何より、印刷された紙媒体は、「未来に形として残る」。
今の時代にコストをかけて紙媒体を本気でリリースするブランドは、それだけ素晴らしいポリシーを持たれている証拠であり、貴重な存在です。
毎シーズン、ファンの心を惹きつけるコレクションを作り出すオアスロウ。他のレプリカブランドに負け無い洋服へのこだわりと、時代を掴むセンスを持っている数少ないブランド。
だからこそ次こそは「オアスロウの物作りの哲学を世界に伝え、未来に残す、本気の書籍」を改めてリリースして欲しいと心から願うのです。
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本日もご一読、ありがとうございました。
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