こんにちは、インディです。
「ミスリード」という言葉があります。
読んだ人を、誤った解釈に誘導するような言葉や文章のことです。
それで言えば、
業界で使われている「ピュアインディゴ」という言葉は、
若干「ミスリード」に当たるかもしれません。
目次
間違えがちなインディゴの種類の知識
雑誌で使われている「インディゴ」の種類
ジーンズを含む衣類へ染色するインディゴの種類を説明する際に、
雑誌や商品説明などで使われるのは、主に以下の4つの言葉でしょうか。
①天然藍(天然インディゴ)
②ナチュラルインディゴ
③合成インディゴ
④ピュアインディゴ
ジーンズが好きな方は、見聞きした事のある言葉だと思いますが、
それぞれの違い、はっきり理解されてますか?
インディゴには天然と合成がある。
この4つの内、
①天然藍(天然インディゴ) と ②ナチュラルインディゴ
これは同じものを指しています。
その名の通り、「天然の藍」=自然の素材を使ったインディゴになります。
藍の葉を発酵させて作った染料のことを、蒅(すくも)と言います。
この蒅(すくも)を使って染める場合、
天然藍、天然インディゴ、ナチュラルインディゴ、などと呼ぶわけです。
次に、③合成インディゴ は、化学的にインディゴを合成しているものです。
水酸化ナトリウムなどを使った、バリバリの化学的な染料です。
生産の効率が良いため、今この世にあるほとんどのインディゴはこの合成インディゴになります。
では、最後の・・・
④ピュアインディゴ
これは、どれに当たるのでしょうか?
ピュアなインディゴだから、天然のインディゴ???
・・・いえいえ。
多くの人が勘違いしがちですが、
③合成インディゴ = ④ピュアインディゴ
なのです。
つまり、ピュアインディゴ=化学的に合成して作られたものになります。
何故なのか??
合成インディゴは化学的にインディゴを作り出すもの。
結果としてインディゴとして定義される成分100%で作られた、
不純物無しのインディゴが作られるわけです。
よって、「ピュア」なのです。
先ほどお話した通り、世の中にある多くのインディゴは合成インディゴです。
つまりですね・・・
そう、ほとんどのインディゴ製品は「ピュアインディゴ」というわけです。
これは今に始まったわけではなく、
1900年代初頭からすでに合成インディゴが普及していました。
みなさんが夢中になっている100年前のヴィンテージデニムも、
みんな合成インディゴで、ピュアインディゴが使われています。
天然インディゴは「ピュア」ではないのか?
天然藍(天然インディゴ・ナチュラルインディゴ)は、
天然なので、その精製の過程で不純物も混じって来ます。
不純物が混じるが故に、黄色っぽくもあり、緑っぽくもあり、色に深みがあリマス。
ただし、天然藍は発酵する「生き物」なので、安定した染めが難しく、
職人の技と手間が必要になため、今では殆ど使われることがなくなりました。
そう、ピュアインディゴとナチュラルインディゴは、真逆のものなのです。
ナチュラルインディゴ(天然藍)もピンキリ
世の中には天然藍染め、ナチュラルインディゴと説明されるジーンズやら衣類が少なからずあります。
しかし、残念ながら。。。
その殆どが天然の蒅(すくも)+化学薬品や合成インディゴのMIXという手法を使ったものになります。
このあたり、実に「オーガニックコットン」の事情に似ているところがありますが、
ちょっとでも天然藍を使っていれば、天然染め、なんて言えるわけで、
このあたりも若干、ブラックボックスなところがありそうです。
ピュアインディゴのミスリード
話を戻しましょう。
「合成インディゴ」と記載されれば、
多くの方は、「あ、化学的に作られた染料なんだな」と理解できると思いますが、
「ピュアインディゴ」と聞いても「合成インディゴ」とは結びつく人は少ないでしょう。
ジーンズのセールストークで、
「100%ピュアインディゴで染められたデニム生地を使用した・・・」
という文言を見かけることがあります。
ここまで記事を読んで頂いた方は、ご理解いただけるでしょう。
「それって、普通のデニムってことでしょ???」・・・ってね。その通り。
ただし、
決して合成インディゴが悪いわけではありません。
ヴィンテージも含め、この世に現存する素晴らしい色落ちしたジーンズの数々は、
そのほとんどが合成インディゴなのですから。
ただ、合成インディゴを「ピュアインディゴ」という言葉を使い
あたかも貴重な素材であるかのような言い回しの説明をするブランドを見ると、
「おやおや・・・」と思ってしまう次第です。
Youtube
本日の内容を、Youtube上で動画にまとめてみました。
よろしければおさらいまでに、ご視聴ください。
本日もご一読、ありがとうございました。
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「みなさんが夢中になっている100年前のヴィンテージデニムも、みんな合成インディゴで、ピュアインディゴが使われています。」
とありますが、ベルベルジンの藤原氏が「66前期までは天然インディゴを使用」していたと自身のYoutubeで仰ってました。
どちらが正しいのでしょうか?
>reoさん
メッセージ、ありがとうございます。ご質問いただいた件ですが、そうですね、どちらが正しいのでしょうね。
Levi’sが公式に発表をしないので、要素を元にある程度予想するしかありません。
多くの知識がおありになる藤原氏の情報も十分信頼に足ると思います。
実際に、出自不明の情報として、1970年代までコーンは天然インディゴを使っていた、という表現も見かけます。
以下は私の考えです。
実際に、66前期以前と66後期以降では明らかに色落ちが違いますが、私としてはこれは天然か合成かの染料の違いから生まれたものではないと考えています。
66前期以前も合成インディゴ→66後期以降はさらに堅牢度(当時は色落ち=不良品だったので)を高めた合成染料に変えたのではないでしょうか。
理由としては、1900年代は事実、世にあるほとんどが合成インディゴであったという記録が多く残っている中で、デニム生地メーカーの最大手のコーンが全て天然インディゴを使っていたというのは不自然に思うこと。
大量生産と合理化が求められていたアメリカの当時の時代背景において、労働着のジーンズの染料を、安く効率よく染色できる合成にしない理由がないと、個人的には考えてしまいます。
また、天然インディゴで染めた色は青々しく(1800年代のアモスケイグのような色落ち)、ヴィンテージの色とは正直似てないこと。
ヴィンテージの再現のために熱心に研究を重ねる現在のデニムブランド各社が、結果、天然インディゴを使っていないことからも、ヴィンテージの色が天然インディゴでは再現できないことを物語っていると思います。
また、コーンデニムのサイトにて2015年に、天然インディゴ染めのデニムを作るプロジェクトがあったのですが、その中でコーン社自ら「知る限り、アメリカのデニム100年の歴史の中で初めて」と記載があったこと。
つまり、彼ら自身で、これまでに大規模に天然インディゴを作ってなかったと自ら宣言しています。
残された可能性があるとすれば、当時天然インディゴ染料を輸入していた、ということ・・・これはまぁ可能性としてはあるかもしれません。
と、色々事実を並べながら想像を膨らませるのが楽しい、ヴィンテージの世界。
結果、天然インディゴを使っていたのかもしれませんが、
100%ってことは流石にないのでは〜と思いますけど、本当のところはどうでしょうね〜。
私も知りたいです(^^)
早速のご回答ありがとうございます。
私も「天然インディゴで着色すると芯まで染まるので、一般的な色落ちにならない」と記憶していた為、
66前期以前の501に天然インディゴが使用されていたという情報に若干の違和感を感じていました。
しかしながら、Indyさんもおっしゃる通りあの藤原氏の情報ですから、十分な根拠があってのことでしょう。
いつの日かyoutubeで解説して欲しいですね笑
最後にもう一度、ご回答ありがとうございました。