こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
ジーンズといえば「日本製」がステータスとなっている現在のジーンズ製造界において、「MADE IN CHINA」を打ち出して物作りを行う異端児、中国発のデニムブランド『RED CLOUD』。
日本のアメカジファンの間ではその知名度はありませんが、中華圏のデニム界隈では有名な存在。海外にも流通先を増やしており、香港にも直営店をオープンさせるなど、世界での存在感はゆっくり、そして着実に大きくなっているブランドです。
その『RED CLOUD』が創立10周年を記念した限定モデル【LOT 55 10TH ANNIVERSARY(10周年モデル)】をリリース。
少々前にマカオに行った際に購入してあったので、今日はじっくりレビューしてみたいと思います。
結論から言えば、”MADE IN CHINA”にもつネガティブなイメージを壊すには充分な作りであり、こういう物作りをされちゃうと、日本のものづくりの優位性とは何なのかと考えさせられるのです。
目次
RED CLOUD 【LOT 55 10TH ANNIVERSARY】レビュー
概要
限定仕様:革パッチ・赤タブ・アーキュエイトステッチ
限定数:423本
製造:RED CLOUD工場(中国)
モチーフモデルは1955年のLevi’s 501XXで、シルエットは普遍的なストレート。ルックスも限りなく…“そんまんま”。
私たちが今持っている常識的には「ステッチに赤タブ、ちょっとやりすぎでは…?」と感じてしまいますが、ほんの10年前の日本のレプリカジーンズ界でこれくらい珍しくはありませんでしたし、これに加え「革パッチデザイン」も似せてたほどですしね。
それにこの細部の作りを見ていくと「模倣」という一言で片付けられるものではなく。そんな評価で終わらせてしまうと本質を見失ってしまいそう。
むしろ「モノづくり」を追求した結果のこの形だという事がわかって来ます。では、詳細を見て見ましょう。
ディテール(フロント)
RED CLOUD 10周年の節目にリリースされた本モデルは、彼らのこれまでの活動の総括となる、オリジナルに“忠実な再現”を目指した意欲的なモデルとなっています。
フロントのボタンフライは鉄製のオリジナル。
コインポケットは耳なしです。
リベットもRED CLOUDのオリジナルのものをそのまま採用。
シンプルではあるが、しっかり、丁寧に作られているフロントビュー。ただ、その裏側、バックスタイルが普通じゃない。
ディテール(バック)
カタログスペックでは事前に見ていましたが、いざ手にして見ると改めて頭を鈍器で殴られたような感覚。
その原因は…もちろん、これです。ただ「ステッチを真似て入れた」だけの「コピー」で、この雰囲気はちょっと出せません。
岡山で縫製したと言われても100人中100人が信じるでしょう。
赤タブに関しては内側に埋め込み気味に縫製されています。
多少(Levi’s社から)怒られる事も想定し、その結果話題性が出るくらいが丁度良い、という考えなのかも知れません。RED CLOUDの名前とその物作りのクオリティが世間的に広く認知されるきっかけになるでしょうから。
この限定モデルのための鹿革パッチ。中心には10周年を表す「10」。デザインのセンス良いと思います。ここをツーホースマークに似せないのが、またいい。
隠しリベットパーツもRED CLOUDオリジナル。雰囲気ありますね。
オフセットのベルトループ。
スレーキの素材感もGOOD。尚、今回の記念モデルは423本限定。
中国製のオリジナル・デニム生地は評価に値する出来
生地はこのモデルのために織り上げたと言うオリジナルの生地。USコットンを使って中国で織り上げたとか。
毛羽立ちの美しいこの生地、表面の手触りはどちらかと言うとフラット。
1950’sのヴィンテージのジーンズって、こういう手触りなんですよね。今のトレンドを意識して「ザラザラ」とか「超ムラ糸」とかで表現していない所に好感が持てます。
裏地を見ると自然なムラ感が出ているのが分かります。私の印象としては、リーバイスのLVCで使われているデニムに非常に近いものかと。
今まで私が固定概念で持っていた中国製のデニム生地のイメージを大きく覆すもの。これが最高!…とまでは言い切れないものの、レベルは低く無く、中国で作られたという事自体に驚きを隠せません。
ここまでのものを地元中国での製造にこだわって環境を作り上げたRED CLOUD、素直に賞賛に値すると思います。
その他のディテール
箇所により糸や運針を変え、しっかり丁寧に縫製がされています。
「MADE IN CHINE」と言うことを、実物を見て判断できる人はいないでしょう。
細かいところまで、出来は良いですよ。
洗濯表示に堂々と「made in CHINA」の文字。そして、この販売価格(私の購入価格)は1,250 MOP(マカオパタカ)、日本円で約18,000円。このクオリティがこの価格で買える事は、嬉しい事・素晴らしい事。
【まとめ】ジャパンデニムは次のステージを見据えた展開を考える必要がある
日本以外で製造されるデニムブランドを私も色々見てきましたが、その中でもこのRED CLOUDはクオリティ面で頭一つ飛び抜けています。
このクオリティを作れる生産背景を中国国内に構築しているRED CLOUDの企業努力は素晴らしいの一言。
もはや、日本製と見分けがつかないレベルにクオリティを高めてきたと言って過言ではないでしょう。これからの展開が楽しみです。
RED CLOUDは今でも日本をはじめ、世界でヴィンテージミシンの収集を積極的に行っていることもあり、今後は今以上に存在を増してくるかも知れません。
もう一つ驚くべき事実は、このモデルを423本も作って、流通させていると言うこと。今の日本のデニムブランドでも、1つの品番で400本以上ジーンズを売れるところは数えるほどしか無いはず。
実際のところ、日本製だから何でも良いという訳ではありませんし、本当に良いものを作れるところだけが評価されて生き残る、弱肉強食の世界がデニム界にもすぐそこまで来ているのだろうと思います。
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本日もご一読、ありがとうございました。
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