こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
昨今はバンクシーの影響で、ステンシルを使ったアートが非常に注目を集めています。
しかし、バンクシー以前にもステンシルはストリートを中心に、アートの技法として広く使われてきました。
アートとしてのステンシルは、そのデザインの型を作って終わりではありません。
その型を使ってペイントをするのにも技術や表現のセンスが要求されるため、アーティスト達はデザインしてからペイントをするまでが一つの表現のセットになっています。
その技法の特性上、全く同じモノが出来ないだけでなく、一つ一つアーティストの手が加わるため、大量生産も出来ません。
そのため、アパレルの世界でステンシルアートの技法がデザインに採用されることは殆どありません。
あまりにも人の手が掛かりすぎる & 数が作れない & 品質が安定しないためです。
しかし、ブランドが大量生産できないからやらない、ということは、
大量生産する必要のない規模、特に個人レベルの規模なら、採算など考える必要もないので、できる訳です。
メジャーには出来ない、インディーズだからこそ出来る、モノづくり。
これもある意味、「サードウェーブなものづくり」と言えるでしょう。
ステンシルは、その表現手法そのものがアート。
ステンシルの魅力はその表現の自由度の高さ。
だから、誰でもステンシルの技法を使えば、一人の「アーティスト」になれるのです。
今日はそんなステンシルを使って、オリジナルのTシャツを一緒に作ってみましょう。
決して、難しくありません。
誰でも、
簡単に、
身近な道具を使い、
安く、
かっこよく制作する方法を、本日はお伝えします。
ここでは例として、このTシャツを作ります。
そして今日はこのステンシル型の作り方と、ローラーでのペイントの方法に関して、ゼロからお話ししていきます。
最後にもご紹介しますが、本日の内容は全て動画でも分かりやすく説明していますので、お時間ある方はそちらも宜しければご覧ください。
目次
用意する道具と、おすすめのTシャツブランド
ステンシルの道具
事前に準備する道具をご説明します。
ステンシルには、制作した型を使って、
② ローラーブラシを使ったペイント
③ スポンジを使ったペイント
の3種のペイント方法があります。
それぞれ準備するものも、またプリントされる表現も違って来るのですが、今回は②の方法を使ったローラーブラシを使ったペイント方法をお伝えします。
なぜ②なのかというと、最も準備する道具が少なくて済み、ペイントに失敗も少なく、またステンシルらしい、カスれながらも存在感のある表現が自然にできるからです。
ステンシルの醍醐味は①のスプレーなのですが、これでかっこよく仕上げようとコツが必要で少し手間もかかります。
また③は最も簡単な方法なのですが、できる表現が中途半端で、この方法だけでステンシルの良さを引き出すのが難しい(=かっこよく仕上げるのは難しい)と私は感じていますので。
さて、今回必要なものは全て100均で手に入る道具のみ。しかも、すでにご自宅にある道具も多いと思うので、ほんの少しの出費で準備は整うかと思います。
・工作用紙
・トレーシングペーパー
・カッターマット
・カッター
・鉛筆
・マジック
・マスキングテープ(通常のセロテープでも代用可)
・ローラーブラシ(DIY用)←100均でも売っています
・ローラーブラシ用のパレット←100均でも売ってますが、売ってないところもあるかも。
・好きな色のDIY用水性ペイント←水性だけど、乾くと耐水になる、いわゆる普通のペンキです。100均で小さいボトルで売ってます。
たった、これだけです!
Tシャツボディ
次に、ステンシルするTシャツを用意しましょう。
初めての方は、練習用としてもう使わないTシャツやヘインズなどの下着系Tシャツで練習すると良いと思います。
ポケTでも問題ありません。
今回私が用意したのは、様々なブランドがTシャツのボディに採用しているPrintstar(プリントスター)のロンTです。
慣れてくるとTシャツである必要はなく、ボタンダウンのようなシャツでも良いですよ。
コムデギャルソンっぽくなって、めちゃくちゃかっこいいのです。
私はこれまで、このPrintstar以外にも何種類かTシャツのボディをステンシル用として試してきました。
本当は「いろんなブランドがボディとしてPrintstarを使ってるけど、私はこれがおすすめ」って言いたいところでしたが、
ボディのドライな質感、シルエット、着心地、価格、どれをとってもPrintstarの優勢勝ち。
多くのブランドが自社アイテムのボディに採用する理由が良くわかる結果に。
今、私はPrintstarしかペイントのボディに使っていません。
楽天でもこのPrintstarが、モノによっては500円台から買えるので、ぜひ見てみてください。
オリジナルのステンシル型を制作する
デザイン原本(下絵)の作成
さて、ここからはステンシルの型を制作していきます。
デザインですが、もしあなたがイラストレーターなどを使ってオリジナルのデザインを作れるのであればこの工程は説明する必要もないでしょうが、デザインなどできない、そんなソフトを持ってない、という方も安心して下さい。
ステンシルの魅力はそのペイントの雰囲気です。既に有名なモチーフをピックアップしたとしても、ステンシルにするだけでかなりカッコよく、オリジナリティのある形で表現できますよ。
初めて挑戦する方は、有名なモチーフでも良いと思います。
自己利用に使う、遊びの範疇での制作(販売はしない)であれば、バンクシーの作品なんかは練習素材として良いでしょう。
まずは気軽に、ステンシルに使いたい好きなデザインをピックアップしましょう。
身の回りにある雑誌の中で見つけた素敵なイラストだったり、ポスターでも良いですし、またはすでにあるTシャツのデザインでも良いと思います。
この時に、選ぶデザインは「できるだけシンプル」「線が太いイラストや文字」を選んでください。
型を切り抜いて作るというステンシルの性質上、細かすぎるイラストやデザインは制作が非常に大変なだけでなく、ペイント時も細かい表現は苦手なためです。
次に、選んだデザインが雑誌など、実物があるものでしたら、正面から写真を撮るなどして、パソコンに取り込んでください。
ネットで検索した画像を使う場合、その画像をパソコンに保存しましょう。
今回はPinterestで見つけた画像を組み合わせて、こんなイラストをステンシルすることにします。
お祈りの手のイラストと、文字の組み合わせです。
等倍に印刷する
先程選んでパソコンに取り込んだデザインを、プリンターで印刷します。
この時に、実際にTシャツに落とし込むのと同じサイズ、つまり「等倍」になるようにプリントしてください。
普通に印刷すると、例えばA4サイズに変換されてしまい実際のTシャツに落とし込んだ時に小さくなりすぎますよね。
なので、印刷時に拡大させるなどして、実際のTシャツにプリントしたいサイズと同じ大きさにして出力するのです。
場合によっては複数枚数が出力されると思いますが、それでOK。
今回の場合、A41枚には収まらず、2枚にまたがって印刷されてきたので、それを切り貼りして1枚絵にします。
これでデザイン原本(下絵)の完成です。
工作用紙に下絵を写す
次に、印刷したデザイン原本の表に、トレーシングペーパーを置いてテープで固定しましょう。
大きいサイズのデザイン原本の場合、トレーシングペーパーもその分、複数枚使って同じように固定させて下さい。
デザインの上から鉛筆でなぞります。このとき、鉛筆の粉をしっかりトレーシングペーパーの上に残すように、濃くしっかりとした線で写していきましょう。
こんな感じです。
次に工作用紙を用意します。
この時、工作用紙を裏向けにして下さい。
そして、その工作用紙の裏に、先程作成したトレーシングペーパーをやはり裏側に向けて、工作用紙にテープで固定します。
つまり、工作用紙の裏側と、トレーシングペーパーで鉛筆を塗った側がくっつく形にします。
トレーシングペーパーの上から線を爪で擦って、工作用紙に鉛筆の下書きを移していきます。
細かい部分が写ってないこともあるので、ある程度写し終わったら、テープをめくり写り具合を見ながら、足りないところは重点的に擦って写していきます。
トレーシングペーパーを写し終わったらその上からマジックで太く線をなぞっていきます。
この線を後ほどカットする訳です。
この時にポイントがあります。
①線と線の間を開ける
この後の工程で、今マジックで書いている線をカッターでカットしますが、
例えば、ローマ字の「O」の線だけをカッターで切ろうとしても、真ん中の丸まで切れてしまい、ただぽっかりとした穴だけが空いた形になってしまいますよね?
ステンシルの型を作る際に重要なのは、そのような「デザイン上の孤島を作らない」ことにあります。
上の写真の例で言えば、親指の爪のところに隙間を開けていますが、これは爪の部分が「デザイン上の孤島」になるのを避けるためです。
そのことを意識して、線を全てつなげないようにして、このマジックでの下書きを行って下さい。
慣れない内は、「ちょくちょく、線を離して下書きする」と覚えておいて下さい。
文字の型を抜くときは、「A」「O」など、中に空洞がある文字は意識して、孤島にならないようにどこか抜け道を用意するよう、気をつけて下書きを行って下さい。
②線の太さは2mm以上。
もう一つ気をつけるポイントは、線の太さです。
デザイン原本が細い線だったとしても、この下書きの工程ではわざと線は太くして、最低でも2mm以上の幅にして下さい。
細すぎると、うまくローラーでペイントが出来ません。
そんなことを気をつけながら、こんな感じで写し終えました。
型をカットする
次に、カッターマットとカッターを用意して、先程写した下書きをカットしていきます。
刃物を使うので十分注意しながらカットして下さい。
先程の工程で「デザイン上の孤島」がないように下書きが出来ていれば、この工程はただ線を切るだけです。
細かいデザインで挑戦されている場合は念の為、孤島になって全部切り抜けてしまうようなことがないか、気をつけながらカットを進めて下さい。
切り終わったら、工作用紙を表にしてみましょう。
原本と同じ形になっていると思います。
というわけで、ステンシル型紙の完成です!
ローラーでペイントする方法とそのコツ
いよいよペイントをします。
用意したローラーのパレットの上に、ペイントを出します。
デザインの大きさにもよりますが、ペイントの量は少なめで十分です。
というのも、つけすぎると、ペイントが滲むなどの失敗をしやすく、またステンシルの良さであるカスれが表現出来ません。
少しずつ塗料を出して使っていきましょう。
塗料をローラーに満遍なく馴染ませます。
ここで重要ポイント。
このつけた塗料を一度このようにパレットで充分しごいて、無駄な塗料を落とす作業をしっかり行って下さい。
スポンジ表面に塗料が浮き出ていないレベル(中に染み込んだ状態)まで、しごくのがポイントです。
ツヤっとしていたら、それはまだつけ過ぎですのでご注意ください。
次に、先程作った型紙を、Tシャツの上に用意します。
ポジションを調整したら、型紙をTシャツにテープで四方を固定しましょう。
ここから、ローラーでペイントします。
型紙を片手で抑えながら、ずれないようにローラーしていきます。
このとき、ローラーをあまりTシャツに押し付けないようにして下さい。
中に染み込んだ塗料が一気に出てきて、つけすぎになってしまいます。
一定の力で、色々な方向から、薄く何回もローラーしていくイメージで塗っていきましょう。
これくらいのサイズなら、1分ほどでペイント完成です。
よく見ると、このように塗り残しがあります。
ただ、これはわざと、この状態で止めています。
ステンシルの良さはカスれや歪みや雑みなど、不完全な中にある美しさ。
全部をしっかり塗ろうとしないで、腹8分くらいで辞めておくようにしましょう。
それで、充分かっこいい作品が仕上がりますよ。
塗り終わったら、すぐにステンシルの型紙を外します。
乾く前に取ってしまってOKです。
ペリペリと剥がしていきます。
まだ乾いていない中でペイント部分を触っちゃって、台無しにしてしまわないように注意。
はい、出来ました。
若干掠れた雰囲気も、完璧です。
完成!
DIY用のペイントなら1時間ほどで乾きます。
早く乾かしたかったらドライヤーを使って下さい。
DIY用のペイントの多くは乾いたあとは耐水性になるので、当然洗濯しても大丈夫ですよ。
こんな感じで、色々なイラストの型紙を作って、それらを組み合わせて、オリジナルのTシャツをアレンジしてみて下さい。
色も、ベーシックに黒だけでなく、赤色や黄色など、色を組み合わせて表現しても楽しいと思います。
先程のものに、黄色スプレーのステンシルを組み合わせるとこんな感じになります。
ここからさらに色やデザイン付け加えると、さらにアーティスティックな作品になっていくことでしょう。
ステンシルの魅力は、一度作った型を色々と組み合わせて、新しいデザインを作れるところにあります。
そしてもう一つ。
今回、同じタイミングで遊びで作ってみた、YALE大学ロゴをアレンジしたステンシル「ポケT」。
YALE大学はNEW HAVEN(ニューヘイブン)という場所にあるのですが、その単語を組み入れたメッセージ「Where is my haven?(私の天国はどこ?)」を作って、カレッジロゴの上にスプレーしてみました。
ステンシルの表現に加え、色味に工夫を加えることで、カレッジ系ロゴを使っているのに、ストリートテイストにアレンジ可能。
また、より絵画的な表現も、このように可能です。
そう、ステンシルの可能性は無限大。
あなたのアイデア次第で、今までにないアートを生み出すことが出来るのです。
Youtubeでは更に詳しく解説しています。
本日の記事ではローラーを使ったステンシルペイントの方法を解説しましたが、ステンシルDIYの醍醐味を味わえるのは「スプレーを使ったペイント」です。
ただ、ローターとは違い、ちょっとしたコツも必要。
文章では説明が難しい部分もありますので、今日のローラーでのペイントの内容に加えて、デザインの元の作り方や、スプレーでのステンシル方法まで解説した動画を作成しています。
ぜひこちらも参考にしてみてください。
本日もご一読、ありがとうございました。
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