こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
『メガネは 顔の 一部です』
…なんていうTVコマーシャルがありましたが。
視力が悪い人にとって、生活の中で最も長く身につけることになるアイテム、「眼鏡」。
洋服や下着は毎日違うものに履き替えますし、靴もTPOに合わせて穿き分けますが、メガネは同じものをオン・オフ問わず身につけることが多いと思います。
先日、【着用単価】を考察した記事において、私の場合は「眼鏡には優先的にお金をかけても良い」ということが分かりました。
過去、私は999.9(フォーナインズ)やObj(オブジェ)、OLIVER PEOPLES(オリバーピープルズ)など、いわゆる「ちょっと良いトコのメガネ」を使ってきましたが、この際、予算に糸目をつけず、私的に最高だと思う「一生モノ眼鏡」を手に入れようと決断。
素材の良さ、耐久性とメンテナンス性、デザイン、職人の技術と意匠。
何より、自分の顔に合う形状、自分のスタイルに合う形状を条件に、数多くの候補の中から「これだ!!!」という一本に出会うことが出来ました。
本日は、私が選んだその眼鏡の話をさせて頂こうと思います。
目次
眼鏡の種類は大きく2つ
眼鏡には大きく分けて、「メタルフレーム」と「セルフレーム」に分けられます。
メタルフレームは、その名の通りフレームがメタル製。
もう一つの「セルフレーム」は、プラスチック樹脂製のもの。
一時期はこのセルフレームの方が人気がありましたが、最近はヴィンテージスタイルだけでなく80年代スタイルの復権により、メタルフレームも街で非常によく見かけます。
なぜ「セルフレーム」と呼ばれるか?
この「セルフレーム」ですが、昔は「セルロイド」という樹脂で作られていたため、その名残で「セルフレーム」と呼ばれていますが、今世にあるこの手のフレームは99%「アセテート」という樹脂で作られています。(よくスカジャンで使われる素材です)
今、アセテートが主流な理由ですが、アセテート製の場合はロット数が少なく、安く生産が出来る上に加工も簡単という特性があるため、メーカーとしては非常に生産効率の良い素材なのです。
一方で「セルロイド」は可燃性があるが故に、生産工場に求められる安全基準を守ることが難しく、また生成の都合上、素材の小ロット生産が難しい点があり、取り扱い工場が激減。
若い方だと、ほとんどの方が本物のセルロイド製の眼鏡を触れたことが無いと思われます。
セルロイドの利点
メーカー的には生産効率が悪く敬遠された結果、市場ではほぼ絶滅状態のセルロイド製フレームですが、使う側にとっては魅力的なプロダクトです。
最も大きな点は、セルロイドが持つ、その独特で色気のある「ツヤ」。
そして、製造から3年以上寝かせたセルロイドは衝撃にも強く、腰が強い特性を持っており、使っているうちに歪んできたり、曲がったりしにくいという特徴もあります。
また、手触りも、独特の粘り気があるというか、、、アセテートと、これ、違うんですよ。
一言で言えば、セルロイドの眼鏡=昔ながらの温もりと柔らか味のあるプロダクトなのです。
セルロイドの欠点
しかしそんなセルロイド。
今取り扱える工場がなくなり、メーカーも使わなくなったことから、作れる職人がほとんどいなくなってしまいました。
セルロイド製のフレームの魅力はその「ツヤ」ですが、その美しいツヤを出すための研磨の職人はもはや世界的にも少なく、数が安定供給出来ないこと、結果として価格が非常に高くなること、が欠点としてあげられます。
欠点が、高くて少数しか作れない事と聞くと……ますます手にしたくなるでは無いですか!?
という事で、この度は「セルロイド製」の眼鏡フレームを選ぶことにしました。
金子眼鏡
泰八郎謹製プレミア(Premier)レビュー
色々調べて、決めました。
【泰八郎謹製 Premier】にします!
向かった先は、金子眼鏡(カネコ ガンキョウと読みます)自由が丘店。
購入でござる。
開封。
ピアノ塗装が施された重厚な眼鏡ケース。高級感ありますが、日常使いをするには気を使いすぎる一品。保管用ですね。
眼鏡ケースの蓋を開けると「泰八郎謹製 Premier」の文字。
泰八郎謹製とは?
眼鏡の街、福井県 鯖江市に生まれ、眼鏡造り一筋、しかも「セルロイド一筋」60年のキャリアを持つ山本 泰八郎氏のブランド。
3年寝かせたセルロイド生地を扱える数少ない職人の一人であり、「ノー芯」製法と呼ばれる「メタル製のワイヤー芯」を使わない山本氏独自の職人技を使って全てハンドメイド生産を貫く、眼鏡界の巨匠です。
鯖江の眼鏡職人の中でも最高峰と言われていますが、もうお歳ということもあり、同ブランドは今後生産数が増えることは無く、在庫がなくなれば再入荷は未定という状況。
実際に私も今回、色々なフレームを見て比較検証を行ってきましたが、セルロイド製メガネを考えた時に、この泰八郎氏の作品は外せないと確信しました。
泰八郎謹製プレミア7 概要
美しいケースに負けない、艶のあるフレーム。
私が購入したのは泰八郎謹製の【Premier 7】。
その泰八郎謹製プレミアラインには現在No.1~8のラインナップがありますが、その中でも比較的シンプルで、スクエアなモデルになります。
もちろん、泰八郎氏による、オールハンドメイドの一品です。
私が選んだモデルは上半分が黒、下半分が半透明のセルロイドの組み合わせの生地が使われています。
フロントの両端には剣(つるぎ)をモチーフにした飾り金具がついています。これ、シルバー925製なのですよね。
テンプル部分には「泰八郎謹製」の文字が刻印。
もう一方のテンプルにはモデル名である「Premier Ⅶ」の文字が刻印。
今回、泰八郎謹製のプレミアの中で、この【Premier 7】を選んだ大きなポイントの一つが、このノーズ部分。
クリングスパッドの仕様になっています。斬新。
セルフレームのメガネの場合、殆どはここがフレームと一体となっている仕様(ノーズパットがプラスチック)になっていますが、鼻への装着感が悪く、汗をかくとズレやすいという特性がありますからね。
これはその点、フィット感が素晴らしいのです。
特徴は、このセルロイドのツヤなのですよ。言葉に表すのは難しいですが、色気があるツヤ。
昔ながらのプロダクトは、なぜにこうも美しいのでしょう。
ジーンズもそうですが、業務の効率化や会社の利益、過度な安全性等を追い求める中で、多くの良いものが捨て去られて来たのだと改めて感じせられます。
「手造」の刻印。
ツヤっ。
泰八郎氏の特徴的な技術である「ノー芯(のーしん)」という製法。
普通のセルフレームのメガネの場合、ここに金属の芯が入っているんですが、良い素材=セルロイドを、良い職人=泰八郎氏が扱っているので、芯が無くても美しい形状をキープできる上に、フィット感もソフトになります。
何度も言いますが、この独特の艶(ツヤ)の美しいことよ…。
アセテートのメガネとは、全く違うんです。
アセテートのような、無機質でツルっとした表面では無く、水面のような「揺らぎ」を感じる、まるで漆(うるし)のような艶。
尚、金子眼鏡さんで、もう一つ、メガネケースをつけてくれました。
私は普段はこっちを使い、箱型のケースは保管用として残しております。
価格:¥42,000(税別)
世にある眼鏡の中では安くありませんが、本物の素材を使い、本物の職人が作りあげるこの作品。少なくとも10年は使えることを考えると、決して高いとは思いません。
【まとめ】違いが分かる、セルロイド製フレームの眼鏡
「私は今まで、本物の眼鏡を知らなかった。」
この作品を手にして、そう悔いました。
何事もそうですが、中途半端なものでは無く「本物」に触れることで気づくことが沢山ありますし、つまりそれは自分の人生の経験値を増やしてくれる出来事となります。
今回、本当に良い買い物が出来ました。
手作りだからこそ得られる世界でただ1本だけの泰八郎謹製。
泰八郎氏のオールハンドメイド故に、一度売り切れると次の入荷の予定は立たないのが、この泰八郎謹製「Premierシリーズ」の特徴。
今回のレビューのモデルは【Premer7】でしたが、他の7種類のラインナップのどれもがカッコいいので、レジェンドの作品がまだ手に入る今の内に、気になる方はチェックをして見てください。
眼鏡の買い替えを検討しておられる方。
とにかく、一度「本物のセルロイド製のフレーム」の実物を見て、触れてみることをお勧めします。
お近くの金子眼鏡や他の取扱店さん、または楽天などのウェブで検索して見てくださいね。
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本日もご一読、ありがとうございました。
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