こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
近年、そのクオリティの高さ、コストパフォーマンスの高さが口コミになり、
着用者が増え続けているデニムブランド、TCB (ティーシービー) 。
元はOEM生産を受ける縫製工場さんが自社ブランドとして展開されているのが、このTCBです。
ジャパンデニムのブランドとしては後発な彼らが作る作品の数々は、
過去のヴィンテージの再現という視点で見ても、また履きこみした経年変化のかっこよさで見ても、
数ある日本のデニムブランドの中で、実力はトップクラスでしょう。
代表の井上さんが、業界でも名の知れたミシンマニア、縫製マニアなのですから。
※写真は[60’s] TCBのBlogより
しかし、雑誌に掲載される機会が少ないため、知っている人はガチなデニムファンが中心。
このTCBは、数あるブランドとは違うビジョン、コンセプトを持っていて、
新しい売り方を模索しながら「自分たちが本当に作りたい商品だけを作るブランド」のポジションを実現しようとしています。
現に、彼らの商品ラインナップは、かなり偏ったもの。
色々な意味で「新しいデニムブランド」。
今日はそのTCB代表の井上さんのブランドとデニムに対するお話と、
TCBの工場見学の様子をお伝えします。
目次
児島TCBジーンズの工場見学
誰でも見学可能なTCB工場
写真の中央がTCB代表の井上さん。
TCBの工場は岡山県・児島の下の町にあります。
事前にアポイントを取れば、誰でも見学が出来るようになっています。
誰でも見学可能な縫製工場というのは大変珍しく、
代表の井上さんの、ブランドの方針と想いがここに詰まっています。
縫製の現場
私が見学させて頂いた際には、TCBの商品をいくつも縫製していました。
タイミングによっては他社のOEMを受けて縫製をしていることもあるようですが、
現在はTCBの縫製が非常に多いとのことです。
みなさん黙々と、難しい箇所も、丁寧に、縫製。
ここは何を縫っている、どうやって縫っている、など
代表の井上さんが現場で丁寧に教えていただけます。
ポケットのスレーキを縫い付けています。
バックポケット。糸を切ることなく、連ねて走らせる。
コインポケットのように一筆書きで縫うような箇所は、職人さんの腕が求められる。
現場では10人くらいの方が黙々とミシンに向かっていました。
こちらは生地の裁断機で、非常に大きな機械。
工場の二階にどどーんと鎮座しております。
TCBではジーンズ生産に必要なすべての機材が今は揃っており、
生地さえ手に入れれば裁断から製品完成まで、
全ての工程を自社工場で仕上げることができる生産体制を敷いているそうです。
TCB 代表井上氏の話。
お忙しい中、当日はたくさんお話をお聞きできました。内容を要約してお伝えします。
少しでもTCB、そして井上代表の魅力を感じていただければ幸いです。
TCB井上氏の略歴
そもそも、岡山・児島に数多くあるジーンズ関係工場・会社の中でも、この井上さんは異例の人物。
多くの関係者が岡山・児島で生まれて、家が縫製業だったとか、身の回りでジーンズ関係の仕事をしている奴が多かったとか、で、
それらの会社に入ったり、工場をやったり、というパターンなのですが。
この井上さんは、ジーンズが好きで好きで、大好きで、
わざわざ児島に移住し、起業したという、生粋の「デニム好き」なのです。
良くある「実家の工場を引き継いで、なんとなくファクトリーブランドを出した」というような方ではありません。
ある意味では「児島にいる誰よりもジーンズに人生を捧げている人物」かも知れませんね。
完全自社生産の目的。
現在、TCBジーンズの生産はすべてこの自社工場のみで行っています。
このように設備を揃え、自分たちの工場ですべて完結できるメーカーは数少ないですが、
TCBは、クオリティを全て自分たちで管理するためにこの生産体制を揃えています。
ヴィンテージに見られる、細かくも「非効率」な縫製だったりを
いちいち協力工場に伝えたりチェックするよりは、自分達で直しながら進める方がやりやすいのでしょう。
もう一つの大きな理由として、これは児島全体の縫製業の問題になるのですが、
これまで多くの工場の方とお取り引きをしていく中で、協力工場さんが永続的に続くわけでは無い、と気付かされた点だと井上さんは言います。
世界的に児島のジーンズが評価されていると行っても、現場の高齢化も進み、経営の継続が厳しい工場がいくつもあり、工場の方々からも「いつ辞めるか分からないからね」という話を聞かされていたことから、
TCBとしては将来を見据えて完全自社生産の方針にしたそうです。
TCB工場見学を開放している目的
井上さん自身がジーンズが大好きで、ジーンズに憧れ、児島に憧れていた存在であり、
児島に来た当時は、工場の現場を見せてくれるところがなくご自身が苦労したので、
今同じような方達がいれば見せてあげたい、という想いで誰にでも開放されています。
当然、中には業界の人も視察がてら工場見学に来る訳ですが、
企業秘密で見せないという考え方がありつつも、
そもそも海外(アメリカ)の真似が今のジャパンジーンズのベースでもあるので、
TCBの技術は隠すことなく、むしろ真似してもらってもいいと考えているそうです。
普通なら、他社の製品を扱うOEM生産の工場だと、工場を見学させてもらえません。
これは工場がケチとかそういうのではなく、縫製依頼を受けているクライアントさんとの業務内容の秘匿のためですね。
TCBのブランディングの考え方
TCBがブランドとしてどうあるべきか、常に考えているという井上さん。
ブランドとして規模を大きくすることを考えると、どうしても「他のアメカジブランド」と同じような展開になってしまう。
会社を維持するために(作りたくないけど)売れるものを作ることは、
自分達(TCB)のやりたいことではない。
自分達が好きな商品だけをとことんこだわって作っていきたい、それがTCBのものづくりとブランディングの根底。
そうすると、他のブランドとは違う販売方法も模索する必要がある。
例えば掲載料を払って雑誌に記事を書いてもらうことも出来るが、
今はSNSや口コミで良いものは自然と評価されていくという考え方で、極力広告は行わない。
世間受けする商品を作るのではなく、広告にお金をかける訳でもなく、
ものづくりに重点を置いて突き詰めているブランドがTCB。
実際にTCBジーンズって、クオリティに対してかなり値段設定が安い。
コストパフォーマンス抜群な理由は、そんな方針にあるんでしょうね。
工場見学から広がるブランディング
TCBは工場見学を開放する数少ないメーカーのため、
今、海外のブランドやショップからひっきりなしに工場見学ツアーが来ている状況。
その方々が「TCBに行って来た! Mr.イノウエに会って来た!」とSNSに投稿するものだから、結果としてTCBという名前が広がっていく結果になっています。
私が住むバンコクでも取扱店、ありますしね。
他社と同じことをしない勇気、実行する行動力。
児島の異端児は、業界の異端児でもあるのかも知れません。
井上さんのように若い人による、既成概念に捉われない新しい発想のブランディングが
これから世界でどう評価されていくでしょうか、楽しみです。
工場見学がしやすいように、リノベ検討中。
尚、目下の目標としては、工場見学がもう少ししやすいように、
入口の改装を予定しているとか。
確かに、、、、これ、入りにくい雰囲気です(笑)
これ、入口なんですが、「TCB」の看板もありませんからねぇ。。。
ビルも違う名前だし。
私も見過ごして、何回か往復してしまいました。
閑静な住宅街の、川沿いにありますよ。
TCBの現場をみて見たい方、是非。
【TCBへのMAPはこちら】
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本日もご一読、ありがとうございました。
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