こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
昨年、ふらっと足を運んで見たところ思わぬ再会があったバンコクの【TOY EXPO】。
今年も日本のゴールデンウィークにあたる5/3~5/6の日程で開催されたので行ってきました。
昨年を超える規模と盛り上がり。
ただただ、驚きの連続。
もはやただの展示イベントではなく、一つの新しいムーブメントをそこで見た気がします。皆さんにこの盛り上がりをうまく伝えられればいいのですが・・・
ということで、以下レポートです。
目次
THAILAND TOY EXPO 2018 レポート
イベント概要
今回訪れたのは「THAILAND TOY EXPO」。TOYという名前ですが、子供向けの「玩具」の催事ではなく、トイアート(もしくはアートトイ)と呼ばれる、インテリア的に飾るフィギュアに特化した催事。世界からアーティストが集まって展示と直接販売を行う、同カテゴリーではアジア最大級のイベントです。
場所はタイ・バンコクでも有名な巨大ショッピングモールの『セントラルワールド』。昨年と同じ会場。
この巨大なショッピングモール内に点在するいくつもの催事スペースをジャックする形で行われるのですが、今年は昨年を超えるブース数。なんと屋外会場も設置され、過去最大規模で開催されていました。
屋外会場にも入場待ちの長い列。
日本でも以前、ベアブリックをはじめとするインテリアとしてのトイアートの市場は盛り上がっていましたが、今はどちらかといえば下火。
…ですが、今、アジア圏ではとんでもない盛り上がりを見せています。特に、台湾・香港・中国・シンガポール。
近年では、ここタイでも。
もともとこのようなフィギュアアートって、古くはソフビ人形に始まり、ベアブリックなども含めて日本が発祥ではあるけれど、その市場を作っているのは「キャラクターの人気」であって、アートではありませんでした。
一方、現在アジアで発生しているムーブメントは、これ、完全にアート。
アーティストのオリジナルのデザインの、オリジナルのフィギュア。買う側からすれば、見たこともないキャラクターのフィギュア。
漫画がある訳でも、TVでアニメをやっている訳でも無い、オリジナル。
それがアートとしてどんどん売買されていきます。上の写真のフィギュアは5cmほどの名もなきデザインの立体ですが、約6,000円で販売されていました。カブトムシですね。
謎のファンシーなうさぎのフィギュア。日本だったら、相当な付加価値がつかないとこの値段でこのフィギュアを買おうとする人はいません。
キャラクターも知らない塩ビやプラスチックのフィギュアをアートとして認める意識がそもそもありませんから。
それはきっと、フィギュアの発祥が日本の怪獣ソフビに始まったため、「子供用の玩具」としての認知が強すぎるからでは、と言われています。
一方、海外ではポップなフィギュアだって立派な造形物の一つ。取り扱いも楽だし、色彩も美しく、若い人の中でインテリアやコレクション目的として爆発的に人気が上がってきています。
「アート」であるが故、表現内容がもはやフリーダム&カオスなのも実に面白い。
この写真のフィギュアは37,000タイバーツ 、約120,000円。
桁が一つ違う…それでも売れていく作品の数々。
アーティストとしても、きっとこのようなPVCを使った立体造形は表現方法の一つとして魅力的なのでしょう。会場に飾られている作品は非常に表現の幅が広く、かなり見応えがありました。
私の目の前で、この怪獣のようなフィギュアをタイの学生の女の子が買っていきました。
16,000バーツ、約50,000円です。 繰り返します、50,000円デス。
会場全域、物販のある場所に、人だかりアリ。
今回の会場には、若い人を中心にタイ人のお客さんもたくさんいましたが、驚いたことに香港人・中国人の姿もたくさん見受けられました。わざわざこのイベントのために、タイに旅行にきているようです。限定品の販売もあるので転売業者もたくさんいましたね。
そんな人たちも含めて1体2万円とかするアートなフィギュアがバコバコ売れている状態でした。
人気がありすぎて投資対象になりつつある【Molly】
今回、一番の注目はInstinc Toyのブースの【Molly(モーリー)】だったかもしれません。
【Molly】は、元は香港人デザイナーのKenny Wong氏のイラスト。
日本のInstinc Toyがそれを立体化し、数々の限定品を販売し、アジアで大ヒット中。販売後、価格が10倍になることも。
今回注目を集めていたMollyは、有名なアーティスト達が塗装をしたワンオフの作品群を多数用意しており、アートの展示としても面白い構成のブースでした。これらの販売価格は最低20,000タイバーツ 、約65,000円のフィギュア。
オークション形式での販売だったらしいのですが、当日はこのために、300人が並んだのです。
転売屋も多数紛れていたということで、投資対象になりつつあります。
すでに大物の貫禄、CHINO氏
会場を歩いていると、すぐに見つけることができました。CHINO氏(オレンジのTシャツ)。
会場を歩く彼に、同業者がみんな声をかけてくる。本当に人気があるんだなぁ、と感心しました。実際のところ、今では香港のTOP3アーティストの一人に数えられています。
5/4だけ開催された、彼のブランド「豆もやし社長」ブースでのサインセッション。
多くの人が詰め掛け、列が途切れることがありませんでした。
CHINO君…笑福亭鶴瓶に似てきました。
尚、このイベントで、彼が用意したイベント限定のトイアート、300個が完売。
ちなみに、1個の売価、約1万円。
10cmほどの大きさのフィギュアに、1万円。
300個、完売。
彼の人気が高いのもあるのですが、アートトイというものがいかに盛り上がっているのか、というのが良くわかる実績です。
もう一つの再会。 香港のmilk magazine編集部
香港と中国の有名なファッションカルチャー雑誌「milk magazine」もブースを出し、限定のベアブリック(即完売)や、写真のYEEZYのフィギュアなどを販売。
面白かったのは、香港で「サザエさん的な人気」を誇る古いコミックキャラクター『老夫子』のコラボフィギュア。香港でしか知名度がないので、これは流石に売れてなかった。
で、このブースにいた二人。左は北京のフリーランスのMic氏、右はmilk magazine編集のLeong氏。
私が香港にいた前職(アパレルとは無関係ですが)の時にお世話になっていた人たちで、実に8年ぶりの再会となりました。
香港では昔からマイケル・ラウをはじめとするアートトイ自体の人気は高かったのですが、アジア全域に広がる同カルチャーは雑誌社としても見過ごせないトレンドになっているそうで、現在は雑貨やアートトイオンラインショップ、milk cargoの運営に携わっているそうです。
久しぶりに話が出来て、楽しい時間でした。
キタンクラブのガシャポン大盛況
このTOY EXPO、会場には若い男女が多く見かけられますが、比較的男性の方が比率が多い中、一角だけ女子率の高いブースがありました。
日本のキタンクラブのガシャポンブースです。
販売してたのは、人気の「コップのフチ子」と、タイだけでなく日本でも知名度のあるタイのキャラクター「マムアンちゃん」のコラボの限定ガシャポン。
た、確かに可愛い・・・けど、1個、約600円します。
ガシャポン1個、600円。
…を、鬼回す、タイの女性達。 狂ったほど、売れてました。
この価格設定をしたキタンクラブのセンス、すごい。
タイ国旗柄の洋服バージョンの限定フィギュアも販売してました。
キャラクターものもある。
トイアートがメインとは言え、キャラクターを打ち出したトイも置いてありました。
スト2でしょ。
忍者タートルズでしょ。
アトムでしょ。
他にもたくさん有名キャラクターものはあったのですが、「キャラクターなしのアート」の方が圧倒的に展示・販売面積が大きく、実際に来場者からの注目のされ方も「キャラクターなしのアート」の方が上でした。
日本の美少女フィギュアの老舗・コトブキヤやグッスマも出店してましたが、注目度が高いとは言えず。日本だったら全く逆のシチュエーション。視点を変えれば、アニメキャラクターだってアートと言えるだろうに…。
このように、日本の知らない、海外独自のカルチャーの広がり、おもしろいほど進行しています。
ゲームやアニメなどの「ジャパニメーション」が世界で評価されてはいますが、そんな評価やトレンドも数年後には崩れ去っているかもしれません。いつまでも固定概念に縛られていては世界に取り残される、そんな危機感を会場で持ちました。
その他
会場で色々写真をとりましたので、当日の雰囲気だけでも感じていただければ幸いです。
バラエティーに富んだ展示は、全てアートに見えてくる不思議。下手な美術館より面白い。
【まとめ】まだ伸びる、トイアート市場に要注目
尚、左はMollyのメーカー、Instinc Toyの平野さん。真ん中のCHINO氏、そして私。
そもそもアートだって、トイだって、生きていく上では不要なもの。それにここまでお金を払えるようになった東南アジアの国々の人々の消費パワーに、まず驚き。
そして、トイを【アート】として認識し、アートに相応する価値のお金で売買されていることにも、驚き。
今回、会期中2日間会場に足を運んだのですが、昨年は感じなかった「地面から突き上げられるようなムーブメントの波」を会場で感じ、興奮を隠すことができませんでした。
このトイアートのムーブメントを大きいシェアで支えているのは中華圏の方々ですが、会場にはローカルの若い人たちも非常に多く、このトレンドは続く&アジア全域にまだ広がると思います。
今の日本のご家庭の経済状況を考えると、このムーブメントが日本で起きることは考えにくいですが、このような海外のムーブメントをいち早く知り、それを商売に利用する立場になった時…きっと大きなチャンスを手にすることができるのでしょう。
世界は、人知れず常に動いている。今年も良い体験ができました。来年も楽しみです。
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本日もご一読、ありがとうございました。
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