こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。
今月、滋賀県で開催された“最後”の【LGC=Local Garage Culture(ローカルガレージカルチャー)】。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いのCSF・ONE PIECE OF ROCKを要するショップ「Forty Niners」が主宰で、地元の商店街をジャックする形で開催されるイベント。
濃密なイベントの内容もさることながら、同イベントがアメカジファンの熱い視線を浴びる理由の一つが「限定アイテム」の存在です。
昨年2018年のLGCでもリリースされた、伝説のモデル「ウエアハウス×CSF S409XXX M-47」の衝撃は凄いものがありました。
私自身、今まで手にした数々のジーンズの中で、この一本は別格の存在です。
この一本を超えるモノづくりが出来るのは、彼ら自身(ウエアハウス×CSF)しかいないでしょう。
そして、2019年。
まさか、こんなに早く見れるとは。
彼らが、彼ら自身を超えていく瞬間を。
今年で最後の開催と宣言されたLGCの、有終の美を飾るべく、再び両社がタッグを組んで生み出した正真正銘「最後の伝説」、【ウエアハウス×CSF S409XXX M-46】が超限定数でリリースされたのです。
私は断言したい。
これこそ、ジャパンデニム40年の歴史の、Top of the TOP。
今回、ブログ読者のイダさんから、このモデルをレビュー用にお貸し頂ける機会をいただきましたので、今日のブログではこの一本を徹底的にレビューしていきたいと思います。感謝!!
やはり、これがTopだと思う。
目次
ウエアハウス×CSF S409XXX M-46
概要

最後のLGCで用意された数ある限定モデルの一つであり、イベントの目玉でもあるのが今回ご紹介する【ウエアハウス×CSF S409XXX M-46】です。
この【ウエアハウス×CSF S409XXX M-46】にもいくつか仕様違いのバリエーションがあるのですが、
どれも共通しているのは、ウエアハウスが完成させたレプリカ系デニム生地の完成形である「バナーデニム」「大戦デニム」を使い、
そのウエアハウスの副資材(赤タブやボタンなど)を使いながら、CSF(CONNERS SEWING FACTORY)の総帥・小中氏がヴィンテージミシンとヴィンテージ縫製技術を駆使して作られた作品になります。
このコラボレーションがどれだけ凄いことなのか??
ここに、私の想いを書かせていただきましたので、よろしければ是非。↓
2018年版【ウエアハウス×CSF S409XXX】との違い

この限定モデルですが、昨年のM-47とは、遠目にパッとみても違いがわからないかもしれません。違いはどこか?
昨年の限定品番はM-47、つまり1947年モデルであり、現代のジーンズの完成形と呼ばれるモデルを表現したモデル。
今年の2019年の【ウエアハウス×CSF S409XXX】は、M-46と言うことで、リーバイス社の1946年モデル=過渡期モデルと呼ばれる時代のものを表現した一本になります。
この46年モデルは、世界大戦終結後という混乱した時代背景の中で、1945年の大戦モデルと1947年の完成形のモデルの要素が混じり合ったディテールを持ち合わせたものなのですが、
ただ様々な仕様をごちゃ混ぜにすれば良い、というものではなく。
混乱した時代が変革を迎える中で、リーバイスの縫製仕様と技術の変化の流れにも一定のルールがあり、
その点と点を線につなげて理解した上で、見た目だけでなく空気感まで表現出来るのは、世界の中でも小中氏だけでしょう。
また、小中氏はこの1年間でおそらく1,000着以上は縫製しているはずで、単純に2018年の時よりも技術に磨きがかかっている、つまり完成度が更に高い一本になっていると言えるでしょう。
もう一つ、私が知る限り、2018年のM-47と比べると今年のM-46の方が本数が圧倒的に少ないようです。
つまり、希少価値の面でも昨年以上。
手に入れられた方、おめでとうございます。
シルエット

本作のシルエットは、1946ということで限りなく1947に近い普遍的ストレート。

このジーンズの、いわゆる顔とも言える後身頃。 情報量が多すぎる・・・

前身頃は一見、シンプルな一着に見えます。

しかし、この中に、様々なアーティスト的な表現が隠されています。
ディテール

ディテールを見ていきましょう。
まず、ご飯何杯も食べれる、このバックポケットパート。
フラッシャーはONE PIECE OF ROCKのもの。

革パッチはウエアハウ・・・あれ? ONE PIECE OF ROCKのものが使用されています。
これ、基本仕様は、ウエアハウスとのダブルネームデザイン版ではなかったかな?。 イレギュラーで入れ替えされているギミックでしょうか?
※11/26 追記※
小中氏に直接確認させていただいたところ、このパッチ違いはごく少数のみ混ぜたレア仕様だそうです。世に出てるの、10着なさそう。
なお、品番・サイズ表記はグリーンスタンプ。

そして、このコラボレーションの価値を構成する最も重要なパートの一つ、ウエアハウス製造のデニム生地。
今作【ウエアハウス×CSF S409XXX M-46】では、1946年の過渡期の仕様ということで、1本の中に2種類のウエアハウスのデニム生地が使われています。
基本的には、ウエアハウスの大戦デニム(1003XXの生地かな?)を使用されているのですが、この雰囲気が抜群です。
そして、部分部分で、1947の生地(バナーデニム)が使用されています。
どこが47生地か、分かるかな??
というか、
ウエアハウスの商品の中にも、バナーデニムと1003の大戦デニムのミックスって今までなかったはず。
それを考えると、このモデルの希少性が更に際立ってきます。

赤タブ(ピスネーム)は退色ピスを採用。

いわゆる片面タブです。

バックポケットの飾りステッチは深めのウエアハウス・アーキュエイトが表現されています。
このステッチも全て、CSF小中氏によるアートです。

何気なく内側を見てみると…

ポケット口の返し縫いにも特徴が…マニアックすぎる!

切りっぱなしの生地が飛び出た帯。

バックポケットは隠しリベット&カンヌキ仕様。

フロントボタンはウエアハウス製とCSF製のMIX。
1946年の前期は大戦期の名残りでドーナツボタンと刻印ボタンがミックスされたケースが発見されているので、それを両社のボタンで表現された仕様になります。

トップはウエアハウスの鉄ボタン。

そして小ボタンはウエアハウス製と…

YORK HOUSE(CSF)製のボタンが(多分ランダム)MIXで装着。

リベットも無刻印版と…

刻印(YORK HOUSE=CSF製)がミックス。

トップボタン裏を何気なく撮ったこの一枚の写真。 私、一番好きな写真。この1枚中に色々な情報が詰まっています。
もはや、デッドストックと同じ空気感。
見かけのディテールだけでなく、縫製に関して知り尽くした小中氏だからこそ、出せる雰囲気です。

ボタン裏はすでに錆。

前立て部分は切りっぱなし仕様になっていて、生地端のほつれが見えています。

深い角度がついたフロントのVステッチ。

コインポケット裏は耳使い。

長めに取られたクインチがちょっと新鮮。
46モデルではこのクインチが左右で違う番手の糸、長さのものがあるのですが、この個体は左右一緒。

小股の縫製。

ベルトループ幅は平均。 中盛り具合はむしろ薄い方。

このベルトループも2種類の生地が混ざっているようですが、今回お借りした個体では、どれが1947生地のループか判別できず。

ウエアハウスの大戦生地の耳。
とにかく濃く、ウネウネゴワゴワ。

生地の手触り、濃さ、ネップ感、どれも素晴らしい。
この生地自体も、ウエアハウス25年の積み重ねが生み出した「作品」。

裏から見たら、そのゴワ感が伝わるかと思います。

バックヨーク部分は1947生地が使われています。
裏から見ると、生地感や色味、ネップ感が違うのが良くわかりますよね。

47生地は、大戦生地と比べると「安定感がある生地」。
ウエアハウスのバナーデニム。ウエアハウスの英知の結晶。

ちなみに、バックポケット生地もバナーデニムです。
ポケットの方が青味が強く、身頃の大戦デニムは黒味が強い色合いなのが分かるでしょうか。

ちなみに、このポケットの中側の生地も多分47。

色味、手触りが違います。
穿きこんでいくことで、様々な箇所で違う経年変化を見せていく楽しみがありますね。
まぁ、この作品を手に入れた方は・・・実際に穿く人より、コレクションとして保管される方の方が多いと思いますけど。
【まとめ】間違いなく、至高の一着。

という訳で、超限定!のリミテッド【ウエアハウス×CSF S409XXX M-46】レビューでした。
残念ながら、この作品のディテールを言葉にすればするほど、安っぽく、陳腐になってしまいます。私のボキャブラリーと表現力の少なさを嘆く…。
しかし、本物に、言葉は要らぬ。
この作品の良さは、実物を手にして初めて理解できるものかな、と感じますね。
このモデルは今のジャパンデニムの頂点であり、
最後の伝説のコラボレーションということで一つの区切りの一本であり、
ジーンズの新しい可能性を魅せてくれた一本。
ジャパンデニム界の、宝と言って差し支えのない作品でした。
これを超えられるのも、やはり彼らだけなのかも知れません。

今回、貴重な機会をいただいたイダさん、本当にありがとうございました!
本日もご一読、ありがとうございました。
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